本格的な冬を迎える中、気温の変化によって発生するヒートショックに注意が必要だが、高齢者に多くみられるという低体温症にも注意が必要だ。雪山などで低体温症になる人が多いイメージがあるが、実は屋外よりも屋内で低体温症になる人の方が多いという。最悪の場合、心停止に至ることもある低体温症の危険と対策を医師に聞いた。

心停止に至ることも…“低体温症”

本格的な冬を迎え、厳しい寒さの続くこれからの時期。高齢者が特に注意しなければならないのが“低体温症”だ。

低体温症に注意
低体温症に注意
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新潟市民病院・救命救急センターの広瀬由和副センター長は「低体温症とは、深部体温が35度未満になることと定義されている」と話す。

深部体温が35度を下回ると、体の震えやろれつが回らないなどの症状が出始め、32度を下回ると、脈拍が弱まり、呼吸も低下。

30度以下で最悪の場合、心停止に至ることもある低体温症。

特に高齢になると低体温症になりやすく、60代から患者の数が増え、80代でピークが来るという報告もあるという。

高齢になると体を動かす機会が減り、食事量も減るため、基礎代謝が落ち、体内で熱がつくられにくくなることなどが要因と言われている。

搬送された人の7割以上が“屋内”で発症

雪の降るこれからの時期は除雪作業などで外に出る機会も増えるが、広瀬副センター長は「除雪作業自体は体を動かすので、むしろ体温は上がる」と話す。

屋外よりも屋内が危険!?
屋外よりも屋内が危険!?

除雪作業中に低体温症になるのは屋根から落下し、雪の中で動けなくなったケースなどが多く、水分を通さない暖かい服装をして複数人で行うことで対策をとることができる。

そして、広瀬副センター長は、屋外よりも屋内のほうが注意が必要だと指摘する。

「イメージだと雪山とかそういった寒いところで起こるのが低体温症と思われがちだが、実際は屋内で起こっている。『エアコンが嫌い』という方もいて、夏場はクーラーをつけない、冬も暖房をつけないという方がいる」

室内の温度は18℃以上に
室内の温度は18℃以上に

低体温症で搬送された人のうち、7割以上が屋内で発症していたというデータもあり、WHO(世界保健機関)は室内の温度を18℃以上に保つことを推奨している。

低体温症の兆候みられたら…

それでも万が一、低体温症の兆候がみられた場合には「意識がしっかりしている場合であれば、まず体を温める。体を温める際には、暖房を近くに寄せる、毛布をかける、そういったことで体を温めることが大事」だという。

温かい飲み物で温まるのも有効だが、熱燗やホットワインなどのアルコールやコーヒーのような利尿作用のあるものは、結果的に水分と一緒に熱が逃げてしまうので避けたほうがいいという。

また、すぐにお風呂に入ることも血圧の急激な低下を招くので注意が必要だ。

“周囲の協力”も必要に「家族・地域ぐるみで対策を」

そして、広瀬副センター長は、高齢者を低体温症から守るためには、周囲の協力も必要になると強調する。

「家族が一緒にいる環境だとか、それが難しくても定期的に様子を見に行ったり、家族ぐるみ、もしくは地域ぐるみでの予防・対策というのが大切かと思う」

低体温症になり、症状が重いと感じたら、迷わず救急車を呼ぶことも重要だ。

(NST新潟総合テレビ)

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