石室の追及
――そう言えば当時、平岩が迎えに来たって言っていたけど、元々、平岩は面識があったのかい?
「井上の運転手ですから、よく見知った仲です」
――そうか、じゃぁ見間違うはずはないよね?迎えにきたのは平岩だったんだよな?
「はい。話したので間違いないです」
――そうかな?君の記憶は間違ってないかな?大丈夫かな?
「そうですかね」
そう言ってXは目を細めた。記憶を呼び戻そうとしているのか、ふりなのか。
いつもの癖だった。そうなると押し黙ってしまう。
石室は追及した。
「当時な、平岩はなぁ、日本にいなかったんだよ。海外にいた。これは間違いない。日本にいなかったんだ。
それなのに何で君は日本にいない平岩と会ったと言うんだ?間違いなのか?嘘なのか?どうなんだ?」

「それに、井上も30日の朝は川越のウィークリーマンションにいた。アリバイの裏が取れている。なんで井上が迎えにきたと何度も言うんだ?これも嘘じゃないのか?」