松本国際高校(長野県松本市)男子バレー部が、2年ぶり12回目となる春の高校バレー全国大会(春高)出場を決めた。昨年1月に亡くなった寮母の壬生智子さんへの思いがチームの結束力を高め、県大会優勝につながった。部員たちは「おばちゃん」と慕った智子さんの遺影を胸に抱き、「勝ったよ」と報告。次は「全国制覇をおばちゃんに報告したい」と意気込んでいる。
「おばちゃん、勝ったよー!」
長野県大会決勝。
松本国際は県内のライバル岡谷工業高校とフルセットの激戦を制した。
試合後、小林智哉主将は智子さんの遺影を胸に抱き、「おばちゃん、勝ったよー!って言いたいです」と語った。

智子さんは、全国優勝通算9回を誇る壬生義文前監督の妻で、現監督の裕之さんの母。
40年にわたり、自宅兼寮を取り仕切り、部員たちを支えてきた。

裕之監督は「誰にもできないことをやってたんだなと常々感じる、すごいなと思います。僕がインターハイ優勝したのも父が何度も優勝したのも半分はおふくろのおかげだと思っている」と母の功績を振り返る。
厳しくも愛情深い指導
智子さんは部員たちの食事や健康の世話だけでなく、生活面も厳しく指導した。
裕之監督は「(母は)私生活の乱れがコートで出てしまうという考え方。競技を通じて『ちゃんと人間性も高めないと』と思っていたので寮での生活の部分に関しては厳しくやってた」と説明する。

2024年1月、智子さんは買い物に出たまま帰らぬ人となった。
突然の別れに、部員たちは寂しさを感じながらも、智子さんへの思いを胸に練習に励んでいる。
結束力高まる「おばちゃん」への思い
小林主将は「おばちゃんが亡くなってしまったことで、チームの結束力が上がったのもあるし、いないからこそ自分たちでやらなきゃいけない、おばちゃんのためにというのは一番大きかったです」と語る。

現在は智子さんの妹・浩子さんが寮母を務めている。
「急なことだったので、お姉さんの教えは正直ないです。手探りでこういうふうにやっていただろうなとか、こういうふうにしたかっただろうなとか。姉が寮や選手にかける思いはすごかったので、それを途絶えてしまっては心ないなと思って」と浩子さんは語る。
「天国から見てもらって」
春高は2025年1月5日に開幕し、松本国際は岐阜の大垣日大と初戦を迎える。
小林主将は「日本一をとって報告したいなと思います」と意気込む。

裕之監督も「おふくろがいなくてもできるんだよって、天国から見てもらって安心してもらえるように。『やりきったよ』ではなくて、『きちんと結果持ってきました、優勝したよ』と墓前に報告したい」と決意を語った。
亡き「おばちゃん」への思いを胸に、松本国際は春高での活躍を誓っている。
(長野放送)