鹿児島県の東南部、大隅半島の東側に位置する人口約1万2000人の大崎町。ごみのリサイクル率が高い町としてご存じの方も多いかもしれないが、国内最高水準の環境を誇る陸上競技のトレーニング施設やパワースポットもあり、多彩な魅力にあふれている。
廃校をトップアスリート育成施設に
2019年にオープンした大崎町菱田にある「ジャパンアスリートトレーニングセンター大隅」は、陸上競技のトレーニングに特化した施設だ。

2015年に閉校した県立有明高校を県が改修し、日本初のスポーツ合宿の拠点として、地域全体で陸上競技の合宿を受け入れられるよう、周辺には宿泊施設のほか、トップアスリートを育成する国内最高水準の環境が整っている。

施設内には150メートルの室内直線コースや、1周400メートルのグラウンドを2つ整備。やり投げや砲丸投げなどができる専用の投てき場なども備え、公式記録が計測できる日本陸連公認競技場となっている。

古賀和彦センター長は、「2016年のリオ五輪・銀メダルの桐生祥秀選手や、同じく2016年に開かれたリオパラリンピックで銀メダルと銅メダルを獲得した山本篤選手もよく来ています」とトップアスリートの名を並べた。設備の充実ぶりが伺える。
子どもたちも環境に満足
2023年4月に発足し、約50人が在籍している「大崎ランニングクラブ」は、センターを週2日利用している。

メンバーの佐野喜一朗さん(12)は、競技を始めてわずか1年で県代表として全国大会に出場するほどの実力だ。昔、陸上部だったという記者が一緒に走ってみたが、佐野さんの俊足に驚くばかりで、まるで歯が立たない。ちなみに佐野さんは、「今の走りは7割くらい」と笑う。

設備について佐野さんは「(練習場は)とてもいいです。草やコンクリートより全然速い。すごく前に進むと感じる」と絶賛。トップアスリートと同じ環境で練習できることに満足している様子だ。
一般も利用可能 無料施設も
施設は有料ゾーンのほか、誰でも無料で使える1周936メートルの本格的なランニングコースを兼ね備えている。地元の人が気軽に使えるのも魅力だ。コースにはウッドチップが入っているため、着地の感触が柔らかく足に優しい。

また、元学校という特長を生かした設備の貸し出しもしている。かつての教室はレンタルスペースとなり、1時間100円から利用可能だ。武道館だった場所は、高校生以上を対象に夜9時まで使えるジムとなっている。体育館はそのまま体育館として貸し出されていて、ボールなどの遊具も用意されている。
古賀センター長は「健康、体力作りに役立ててもらいたい」と一般の利用を促している。
「縁結び」のパワースポット
次に大崎町のパワースポットを訪ねた。約500年前に建立された「都萬神社」は、大崎町で一番古い神社で「日向五社大明神」の一つとされ、毎年1月に開かれる「おおさき福男福女選び」のゴールにもなっている。

都萬神社には「木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)」という女性の神様がまつられている。木花開耶姫命はかぐや姫のモデルという説もあり、都萬神社の宮司・小野ひろ子さんによると「縁結び、子授け、子育ての神様。火をよけてくれる神様」だそうだ。

神社の本殿には動物の彫刻が施されてる。十二支の動物たちが勢ぞろいしていて、神社を訪れた子どもたちは、喜んで自分の干支の動物を探すそうだ。

このほか、建物の一部には「ハート」の形もあるのだとか。ハート型というと幸せを運んでくれそうで、つい探してみたくなる。
トップアスリートと同じ練習環境の体験、自分の干支の動物探し、「縁結び」の御利益を目当てに、一度大崎町を訪れてみてはいかがだろうか。
(鹿児島テレビ)