元旦に発生した能登半島地震は正月気分を一気に吹き飛ばしたが、その後も多くの災害に見舞われた2024年。とりわけ「観測史上初」となる出来事が多かった。

「史上初」に身構える

 
 
この記事の画像(10枚)

7月7日に2024年になって全国で初めてとなる40℃を静岡市で記録するなど連日の酷暑に襲われた今夏。

県地域医療課・伊藤正仁 技監は「危険な暑さから自身と周りの人の命を守る行動をとって欲しい」と注意を促した。

異常な暑さは夏を過ぎても続き、静岡市で9月20日に記録した最高気温39.2℃は国内で観測史上最も遅い39℃台となったほか、11月17日には浜松市で観測史上最も遅い夏日に。

気象庁の発表(2024年8月)
気象庁の発表(2024年8月)

一方、8月8日に日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生したことを受け、国は史上初めて南海トラフ地震臨時情報「巨大地震注意」を発表。

初めての事態に県内でも混乱が生じ、スーパーやドラッグストアではコメや飲料水の品切れが続出し、ホームセンターではポリタンクや携帯トイレが飛ぶように売れた。

豪雨がもたらした大規模災害

水没した車(静岡市内)
水没した車(静岡市内)

さらに、雨の脅威にもさらされた。

台風10号に伴い雨が1週間近く降り続くなど記録的な雨量となり、県内では各地で浸水や土砂災害が起きた。

熱海市では山が崩れたことで大量の土砂や水が火葬場の施設内に。

土砂崩れで墓石が倒壊した鉄舟寺
土砂崩れで墓石が倒壊した鉄舟寺

約1300年の歴史を持つ静岡市清水区の鉄舟寺でも土砂崩れにより50基を超える墓石が倒壊。

世永天山 住職は「まさかこんなことがあるのか…身近な所でこんなことが起きるのかと自然の力にはびっくりした」と驚きを隠せない。

また、静岡市駿河区ではイチゴ農家の農業用ハウスが土砂に飲み込まれた。

「雨があんなに降ると思わなかった。初めて、いまだかつて」と話すのは手塩にかけて育てたイチゴ約12万粒が被害に遭った澤山秀雄さんだ。

農業用ハウス22棟が土砂に流されたことで被害を免れたイチゴだけしか出荷できず、収入の大幅な減少が避けられない澤山さんは「今年の収穫を見ながら考えるしかない、来年のことは。健康面に気を付けて1年でも長く作業ができればいい」とさみしげにつぶやいた。

支援の手が差しのべられ

校内での募金活動(東海大静岡翔洋高校)
校内での募金活動(東海大静岡翔洋高校)

一方、墓石が倒壊した鉄舟寺の被害に心を痛め動き出したのが東海大静岡翔洋高校の生徒会だ。

東海大学の前身・航空科学専門学校がかつて鉄舟寺を寮として使っていた縁もあり支援に乗り出したという。

若神子凛 生徒会長は「お骨なので機械が入れないと聞いたので、私たちの力で少しでも早くお墓が元の形に戻ればいい」と話す。

募金活動した東海大系列高校の生徒たち
募金活動した東海大系列高校の生徒たち

募金は東海大系列の他の学校が集めた分と合わせて1月29日に届けられる予定となっていて、鉄舟寺の世永天山 住職は「地元の翔洋に限らず全国の付属校で支援の輪が広がっていると聞いていて、大変うれしく感謝している」と口にした。

そして前を向く

クレーン車で復旧中の鉄舟寺
クレーン車で復旧中の鉄舟寺

鉄舟寺では現在もクレーン車を使った墓石の撤去作業が進められているが、同時に復興に向けた新たな取り組みも始まっている。

世永住職が広島県出身で、プロ野球・広島東洋カープのマスコットキャラクターを手がけた岡崎福雄さんと親交があったことから、新たな御朱印のデザインを依頼。

納経料は墓石をはじめとする寺の修繕に充てる予定だ。

世永住職は「1日も早く復旧できるよう強い気持ちで務めていきたい」と前を向いている。

(テレビ静岡)

テレビ静岡
テレビ静岡

静岡の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。