13日、自民党が税制調査会を開き、大学生の年収上限を150万円に引き上げる方向で、最終調整に入った。この改定で、親世帯の手取りは増えることになるが、130万円の健康保険料負担の壁が依然課題となる。

学生バイト巡る壁…年収上限150万円の新制度案

自民党は13日、税制調査会の会合を開き、子供の年収上限を150万円に引き上げる方向で、最終調整に入った。

特定扶養控除は、大学生の年代の子供がいる親などが減税される仕組みで、子供の年収は103万円が上限で、学生バイトを巡るもう一つの壁となっている。

13日に開催された自民党税調
13日に開催された自民党税調
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自民公明両党は、国民民主党が要望していた水準の150万円に引き上げる方向で最終調整に入った。

2025年分の所得から適用し、上限を超えた場合も世帯の手取りが減らない仕組みを作ることも検討し、国民民主党と改めて協議を行う。

具体的にどのように変わっていくのか、フジテレビ・智田裕一解説副委員長が解説する。

木村拓也キャスター:
年収の壁には、103万円や106万円、130万円などがあります。103万円の所得税がかかるものに関しては、よくお伝えしていましたが、今回お伝えするのは特定扶養控除です。対象の方々は19歳以上23歳未満で、だいたい大学生くらいの年代の子供を持つ親世代の人たちが、103万円を超えると手取りがガクッと減るとのことなので、「アルバイト、103万円以内にしてね」なんてよく言われています。

青井実キャスター:
智田さんも大学生の娘さんがいらっしゃると伺っていますが、かなり気にしていましたか?

智田裕一 解説副委員長:
そうですね。年末になると、「お父さん私、年収がこれくらいになりそうだけど、どうしよう?」と相談されることもあって、娘は年間100万円にいかないよう、年末のシフトを組んだりしていました。私のように年末になると心配になる親は多いと思います。実は、パートで働く配偶者がいる場合や高校生がいる場合に減税してもらえる金額と比べて、この大学生向けの控除の金額は大きいので、世帯全体の手取りへの影響が大きくなるということです。

遠藤玲子キャスター:
智田さんのお子さんも、年末はシフト調整するとおっしゃってましたが、お店側からすると、これから年末年始は、かき入れ時なのに、学生さんの働き手が減るというのは困りますよね。

木村キャスター:
学生も働きたいのに働けないので、親も子供も困っちゃう壁になるということですね。これを103万円から150万円に引き上げる方向で今、調整をしているということです。単純計算で、この47万円上振れした場合は、12か月で割るとだいたい月4万円ぐらいかなということです。

青井キャスター:
月4万円は、学生たちにとって大きいですよ。

SPキャスター 中村竜太郎さん:
大きいですよね。そのお金で、例えば授業料に充てたり、生活費に充てたり、自分の娯楽に充てたりとか出来ますから、これは大きい金額だと思いますよね。

青井キャスター:
今103万円で、今後150万円に変わると手取りがどれくらい変わるのかですよね。

木村キャスター:
親の年収が600万円の場合の試算を見ていきましょう。子供のバイトの年収が150万円の場合で見ると、103万を超えてバイトした場合、特定扶養控除が受けることができなくなり、現行の仕組みで計算すると親の手取りは465万9000円となります。控除を適応してもらえる子供の年収上限が150万円に引き上げられると、476万8000円となり、現在より10万9000円ほど親の年収が増えるということです。

「130万円」健康保険料負担の壁が課題に

遠藤キャスター:
実際に150万円に引き上げられる時期は、先になってくるんですか?

智田裕一 解説副委員長:
国民民主党の要求を踏まえて、2025年分の所得から適用をスタートしようということです。上限を超えた場合も、世帯の手取りが急激に減らない仕組みを作ることを検討する方針です。

木村キャスター:
年収400万円と800万円の時を、それぞれ見ていきたいと思います。親の年収が400万円の場合は、7万7000円増える試算になります。親の年収800万円の場合は、現在よりも17万4000円増えるということです。親の年収が高ければ高いほど、より恩恵を受けやすいと言えますね。

SPキャスター 中村竜太郎さん:
色々な家庭の事情がある中で、お子さんが働く意欲に応えるというのは、すごく良いと思いますし、トータルで見たときはメリットの方が多いんじゃないかという気がします。

青井キャスター:
メリットだけなのか、それとも課題があるのか、その辺りはどうでしょうか。

智田裕一 解説副委員長:
国民民主党は若い世代の手取りの底上げを主張しています。大学生が多く稼げるようにして、その世帯の手取りが増えるようにしても、その若い世代全体の底上げの全面的な解決につながるかという課題もあります。
あとは学生が年収130万円以上になると、今度は社会保険料、健康保険を払わなきゃいけなくなって、そこでまた壁が生まれるので、仮に150万に引き上げたとしても「130万円の壁」をどうするのかは残るので、ちょっと課題もあるということです。

遠藤キャスター:
150万円に引き上げても、結局また国民健康保険の130万円の壁があるので、そこまでしか働かないで、みたいな話になってしまう可能性があるということですね。

智田裕一 解説副委員長
社会保険も含めて、全面的に将来的には解決していかないといけないかなと思います。
(「イット!」12月13日放送より)

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