教員のなり手不足が深刻化する中、タブレット端末の活用で教員の働き方改革を進め、教員も児童も「幸せな学校」を実現しようとする取り組みが広島市の小学校で始まっている。

学校の働き方改革をICTで 

広島市立吉島東小学校は、「日本一幸せな学校」を目標に掲げるユニークな学校だ。教職員の負担を軽減し、働きやすい環境を整えるため、ICT(情報通信技術)を積極的に活用している。

欠席連絡がタブレットに届く
欠席連絡がタブレットに届く
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これまで欠席連絡は、電話当番の先生が朝早くから職員室で対応していたが、タブレット端末で簡単に確認できるようになった。

大下将司先生は、「当番が不要になり、子どもと向き合う時間が確保できるようになった」と語る。

さらに、大手通信教育会社が開発した授業支援アプリを導入したことで、放課後の授業の資料づくりなどの事務作業が大きく効率化された。これまで月平均60時間を超えていた残業時間が大幅に減少した。

伊藤竜一教頭によると、「教職員が教材研究や授業準備に使える時間が確保できるようになった」という。

「教員はブラック」というイメージ

一方で、教員のなり手不足は依然として深刻だ。

広島県内の公立小学校教員採用倍率は2025年度は1.6倍で2024年度より0.3ポイント減少。退職者の増加に伴い、採用人数を増やした一方で、応募は伸び悩んでいる。その要因として「教員はブラック」というイメージが広がり、全国的に教職を目指す若者が減り続けている背景がある。

伊藤教頭は採用状況を「危機的」と言いながらも、こうした取り組みが教育現場のイメージを改善して「“教員・学校はブラックだ”という印象を払拭し、教職志願者が増えれば」と期待をかける。

子どもたちの学びも変わる

ICTの導入は先生だけでなく、児童にも良い影響を与えている。授業ではタブレット端末と紙の教科書を併用するが、児童たちの反応は前向きだ。

ある児童は「タブレットを使えばみんなの意見も見られるので便利」とリアルタイムに友だちの反応がわかることに利点を見出す。

また別の児童はタブレットを使った授業で「もっと知りたいと思えるようになった」と探求心の深まりを強調する。

また、教員にとっては、授業準備にかかる時間が減り、児童の疑問に答える時間を増やせたことで、児童の主体性が高まったという。

大下先生は「大事な疑問点をおさえたうえで、もっと時間をかけて深めたい部分に時間を使えるようになった」と語る。

タブレットの活用による効率化が、先生と児童の双方にとってプラスに働いているようだ。教員からみれば、授業の資料作成などはICTを活用して効率化をはかり、児童からみると、授業での疑問点を整理し、より深い学習ができるというメリットがある。

このような効率化で学校という職場のブラックなイメージが払拭でき、教員志望者の減少に歯止めをかけられるかが注目されている。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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