少数与党政権と野党が向き合う国会が始まる中、新しい代表に吉村洋文大阪府知事が就任した日本維新の会の新体制が注目される。「BSフジLIVE プライムニュース」では、吉村新代表と中継を結び、今後の党運営の方針や党勢回復策について話を聞いた。

吉村新代表が前原氏を国会議員団代表に指名した理由

竹俣紅キャスター:
12月2日に投開票が行われた日本維新の会の代表選には4人が立候補していたが、吉村洋文大阪府知事が有効票の約8割に及ぶ8547票を獲得して圧勝した。新代表に就任した今の心境は。

吉村洋文 日本維新の会代表:
日本維新の会は非常に厳しい状況にある。一般党員の皆さんから頑張れという投票をいただき、身の引き締まる思い。性根を入れて進めていきたい。

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反町理キャスター:
吉村さんは国会議員団の代表・共同代表として前原誠司氏を指名し、両院議員総会で決定した。政治家としてのキャリアは長いものの、維新に入って間もない前原さんを選んだ理由は。

吉村洋文 日本維新の会代表:
賛否があるのはわかっている。だが、前原さんが国交相のときに空港の民営化を成し遂げた。僕自身も大阪市長として大阪市営地下鉄を民営化させたが、前原さんは本当にすごいという思いで見ていた。もう一つは、党三役を若手に任せて育てていきたい思いがあり、前原さんの経験、実績、改革への思いを重視した。前原さんとは意見の相違もあるかもしれないが、最後に決定すれば従っていただけるときちんと確認した上でお願いした。

反町理キャスター:
大阪がどこまで国会の動きをコントロールするか。予算審議のギリギリの局面や不信任案など瞬間の判断が国会では様々に求められる。日常の意思疎通があれば判断は委ねて事後報告でよいのか。それとも吉村さんの決裁を通らなければ認められないか。

吉村洋文 日本維新の会代表:
前原さん、党三役と常に情報交換できる関係を構築して進めていく。国会での活動は基本的に前原さん、党三役、国会議員団の議論の中で進めていくのが当然。だが非常に重要な法案、予算、不信任決議といった、代表として決断しなければならない場面では当然コミットしていく。一つ一つの細かいことまで、ということはない。

参院選1人区で維新が目指す“予備選”の具体策は

竹俣紅キャスター:
吉村代表は代表選後の会見で「野党第一党は目指さない」「与党過半数割れを目指すべきだ。その方が公約実現に近づく」と発言。馬場伸幸前代表は全国での党勢拡大を目指していたが、吉村代表は戦略的地域を選定して候補を擁立する方針。2025年夏の参院選では改選1人区で野党候補を一本化する「予備選」の実施を目指すとした。

吉村洋文 日本維新の会代表:
僕自身が大阪市長・大阪府知事として実際に政策を実現してきた中、政策実現が極めて重要だという強い思いがある。それを信じて有権者の投票をいただいており、公約の実現に近い方を目指していくべき。そのためには、与党が過半数割れになることがプラスになる。政策実現の実績を積み、最終的には当然政権交代を目指すが、野党同士で争うより与党過半数割れを目指して政策を実現することに意味があるという考え。

反町理キャスター:
国民民主党が主張する103万円の壁の問題について石破総理は引き上げを約束した。少数与党の自民は聞く耳を持たざるを得ない状況。同様の戦略で自公に政策をのませるのか、与党を過半数割れに追い込んで政策を実現するのか。どちらがよりスムースな政策の実現過程だと感じるか。自公を過半数割れに追い込めば、共産党やれいわ新選組なども含めた新しい政権、という選択肢も出てくるかもしれないが。

吉村洋文 日本維新の会代表:
れいわや共産は僕と全く逆の考え方であり政権は作れないと思うし、国民もそれは期待しないと思う。数は減ったとはいえ、やはり数の多い自民が一番国民に信頼されていることが前提で、国民民主のように我々も実現したい政策について与党と協議していく。

反町理キャスター:
維新の新体制が固まれば、よりわかりやすい自民からのアプローチも始まるだろう。政策協議の求めに対してどう向き合うか。二党の間で協議する形、全部の党が出席してというオープンな形もある。

吉村洋文 日本維新の会代表:
当然、政調会長を中心に協議していくことになる。やり方は政策ごとに、ということになる。

反町理キャスター:
2025年夏の参議院選挙では、改選1人区で野党候補一本化するために予備選実施を目指すとの発言。誰が投票するのかという部分など、現時点での具体策はあるか。

吉村洋文 日本維新の会代表:
具体策は本当にこれから。簡単にはできないことはわかっている。例えば同じく野党の間でも、全く考え方も違う同士で選挙のために選挙区調整をするのは野合・談合に近く、なかなか有権者の方も納得できるものではないと思う。ただ、やはり与党の過半数割れを目指すべき。複数区では全ての野党が戦えばいいが、1人区では準決勝を行い勝った者が決勝戦で自民と戦うことが必要。ルールを作るのはすごく難しいが、ちょっとチャレンジしてみませんかと思っている。

反町理キャスター:
この番組の中でも、予備選の話は橋下徹さんから4回ほど伺ったことがある。橋下さんのアイデアを吉村さんがパクったのか、それともずっと話し合っていたのか。

吉村洋文 日本維新の会代表:
パクっているところはあると思うが、そういう軽い話ではない。実はフランスの国政選挙などでは事実上の予備選のようなことが行われている。だが日本にはそのルールがないということ。我々も大阪市長の候補者を選ぶときに内部で予備選をやるなど試行錯誤している。誰を候補者とするかについて、考え方が違う政党や候補者同士で切磋琢磨する仕組みをなんとか作り出し、自民と一対一の戦いに持ち込むべきだと思っている。

維新の自民に対する“是々非々”距離感の変化は

竹俣紅キャスター:
吉村代表は会見で「自民党と対峙しぶつかっていく」と述べた。こうした姿勢を打ち出すことで、自民党との政策ごとの協議がしにくくなるのでは。

吉村洋文 日本維新の会代表:
いや、基本的には野党が自民と対峙しぶつかっていくのは当然のこと。ただ全て反対するような、何から何まで反対ありきという考え方ではない。自民にすり寄るつもりもないが、対峙していかなければ意味がない。その中でともに公約に掲げている政策があれば、実現していくのは当たり前のこと。

反町理キャスター:
「対峙しぶつかっていく」という文言だけを切り取ると、これまでの馬場代表時代の維新と違って自民とは敵対関係になる、距離を置くのではと想像する人たちもいる。だが、今の吉村さんの話を聞けば、是々非々でという従来の維新とどこが違うのか、と感じる。

吉村洋文 日本維新の会代表:
自民党とは距離を置きながらやっていくのは当たり前。我が党には我が党の考え方があり、公約があり、それを実現して社会を変えるために存在しているわけだから。それが実現できるならば模索していくのは政党として当たり前のこと。

反町理キャスター:
「野党第一党を狙わない」ということは政権を目指さないという話になるのでは。将来的な目標をどこに置いているか。

吉村洋文 日本維新の会代表:
政権を目指すのは当たり前。だが目指し方として、少しでも我々の公約を実行して実績を作り社会を変えていくようにした方が政権交代に近づくと思っている。

反町理キャスター:
すると、野党第一党は目指さないが、比較第一党は目指すという難しい話になってくるのでは。

吉村洋文 日本維新の会代表:
結果として野党第一党というステージを経ていく形になる場合は当然あると思う。だが、野党第一党そのものを目標とするより、やはり政策を実現するという意味では与党の過半数割れを目指す。野党の意見も聞かなければ話が進まない状況となり、我々が掲げた公約を実現できる可能性が高まっている。それを実現して実績を積んでいくことが信頼に繋がっていく。衆院選の大阪での選挙結果もそうだったが、大阪府知事・大阪市長として実績を積んできてそう思っている。「野党第一党」にそこまでの価値はあるのかなと。
(「BSフジLIVEプライムニュース」12月2日放送)