年末を控え、長距離の旅行を計画している人も多い中、“飛行機内での窃盗被害”の報告が相次いでいます。

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成田空港では、届け出や相談が2024年に入ってから10月末までに39件。2023年に比べて、約2倍に増えているといいます。

機内でおもむろに立ち上がる男
機内でおもむろに立ち上がる男

実際に、窃盗の瞬間を捉えた映像を入手しました。
マレーシアの国際空港に停まった飛行機の機内で、中央の列に座る男。おもむろに窓側の列に向かうと…。

黒いショルダーバッグを物色。まるで自分の荷物のように扱い、何食わぬ顔で荷物棚に入れます。

男は周りを気にしながらも、さらに荷物棚の別のバッグに手を伸ばし…貴重品を盗み取ったとみられます。

別のバッグも手に取り中を物色する
別のバッグも手に取り中を物色する

通報を受けて駆けつけた職員が声をかけると、かばんを持って逃げ出そうとする男。
慌てて職員が取り押さえます。

逃げようとする男を押さえつける職員
逃げようとする男を押さえつける職員

地上職員「これは誰の荷物ですか?あなたのものですか?ちょっと見せてください」

職員の言葉に“質問の意味がわからない”といったジェスチャーをする男。男は中国人で、その後、警察に引き渡されたといいます。

このような窃盗の被害は、国内線でも発生しているといいますが、フライト時間が比較的長く、眠る乗客も多い国際線で目立っているといいます。

眠っている間に“根こそぎ”

「めざまし8」が取材したのは、旅行先のラオスから、中国へ向かう国際線の深夜便で窃盗に遭ったという男性。

機内で盗難被害に遭った男性:
リュックの中からポーチと財布類を、根こそぎいかれてって感じです。
リュックを荷物棚のところに入れて、窓際に座って寝たんですけど、深夜便っていうこともあって、機内も本当に真っ暗で…。

現金・約5万円とカードが入ったリュックを上の荷物棚に入れ、フライト中、窓側の席で3時間ほど眠ったところ、到着後にリュックから財布類が全てなくなっていることに気づいたといいます。

機内で盗難被害に遭った男性:
飛行機から出る時、横(通路側)の2人がすごく素早く外に出ようと必死だったんですよ。いの一番に立って…30後半ぐらいだと思いますね。

男性は到着後、中国の警察などに相談しましたが、捜査に時間がかかると言われ、結局、泣き寝入りするしかありませんでした。

機内で盗難被害に遭った男性:
通路側にいると(盗難に)気づきやすいと言いますか、そういう対策は前々から、考えてやっていたんですけども。今回は深夜便で寝ようって、もたれかかる窓際をチョイスしたのが本当に失敗だったなっていうのが原因です。

被害に遭わないためには

なぜ今、機内での窃盗が増えているのか、対策はどうすればいいのか、防犯アドバイザーの京師美佳さんに詳しく聞きました。

防犯アドバイザー 京師美佳さん
防犯アドバイザー 京師美佳さん

――なぜ機内での窃盗被害が増えているのですか?
防犯アドバイザー 京師美佳さん:

やはり今円安の傾向で観光客がすごく増えていますので、そこに窃盗団などが潜り込みやすいという環境ができてしまっているんですね。そういったところで増加しているというところもあるので、要注意です。

――どのように対策をすればいいでしょうか?
まず貴重品などは上の棚に入れずに、自分で肌身離さず持っていただく方が安全です。
肌に触れている方が、何かあったときにすぐに気付くことができますので、どうしても上の棚に入れていると目が届かない場合があるので、基本的に目が届く場所に置いていただく、もしくは身につけていただくと。

貴重品を入れたショルダーは首から下げて、その上から上着を着る
貴重品を入れたショルダーは首から下げて、その上から上着を着る

防犯アドバイザー 京師美佳さん:
例えば、私が実際にやっている方法は、手荷物を二つに分けるようにしています。財布やパスポートなど大事な物はショルダーに入れ首からかけて、その上から上着を着る。中に入れてしまう感じです。大きめのパーカーなどで見えないように中にしまう。
化粧品やタブレットの入ったバッグは、ファスナーを閉めた状態で前の座席の下に入れて、足で挟んでファスナーを触ろうとすると私の体に触らないといけないという状態にしています。首からかけているバッグもファスナー部分を自分の体の方に向けて。

タブレットなどが入ったバッグは、前の座席の下に入れて足で挟む
タブレットなどが入ったバッグは、前の座席の下に入れて足で挟む

防犯アドバイザー 京師美佳さん:
ただ、座席によっては前の座席の下に荷物を置けないところもあるので、その場合は上の荷物置きに置かざるを得ないことになると思うのですが…、そのときでも、財布だけは肌に着けていただく方が安心です。
(窃盗団は)どれを取ろうかというのを見ていますので、「私はちゃんと荷物を意識しています、貴重品も管理しています」というのをわかるようにアピールすることが大切です。「あいつ隙がないな」と。

どうしても、ノートパソコンやタブレットなどの貴重品を上の棚に入れなくてはいけないときは、「かばんの口を開けっぱなしにしない」「バッグの口を奥側にする」「人から見えるように貴重品を出し入れしない」「自分の荷物がどこにあるか把握し、忘れ物防止タグを貴重品に付けておく」なども有効です。

防犯アドバイザー 京師美佳さん:
日本人は危機意識が薄くて、貴重品の管理もしっかりしない、できない、「機内だから逃げないだろう、盗まれないだろう」と思う方もいらっしゃると思うんですけど、そういった隙を狙われますので、必ず意識して、上の棚にはできるだけ置かず肌身離さず持って、どうしても上に置かないといけないときにはアラームが鳴るとか、忘れ物防止タグを設置していただくと、スマートフォンでもどこにあるか分かりますので、そういったもので管理していただくのがいいと思います。
(「めざまし8」11月29日放送より)