特殊詐欺被害が全国で相次いでいるなか、沖縄県内では2023年の3倍近い特殊詐欺事件が発生している。どのような形で被害に遭ってしまったのか。巧妙化する手口を取材するとともに、沖縄県警本部組織犯罪対策課に被害に遭わないために心がけるべきことを聞いた。
被害額はすでに1億9300万円
沖縄県内では、2024年1月から11月28日までに、去年の3倍近い135件の特殊詐欺が確認され、被害総額は約1億9300万円にのぼる。(2023年48件・被害総額2億128万円)

なかでも、役所職員や金融機関の職員を騙る人物が自宅を訪れて、キャッシュカードをだまし取る預貯金詐欺と呼ばれるものは、2023年0件だったのが2024年は21件発生している。その手口は…
詐欺詐欺再現VTR(警察への取材をもとに再現):
還付金がありますが、手続きのシステムが変わり古いキャッシュカードが使えなくなったので職員が回収に行きます
こうした電話のあと、金融機関の職員などを騙る人物が訪れ、キャッシュカードを渡してしまい、その際に言葉巧みに暗証番号も聞きだすのだ。

その後、ATMで現金が引き出されていて、預貯金詐欺は21件で被害額は1100万にのぼる。
沖縄県警本部組織犯罪対策課・山城裕司次席は、「各種還付金の還付手続きをATMで受けたり、その手続きのために職員が自宅にキャッシュカードを受け取りに来るということは絶対にない」と強調する。
オレオレ詐欺の手口が変化
今年に入って特徴的な特殊詐欺の手口はオレオレ詐欺。
一昔前だと、自動車事故を起こしてしまった示談金が必要などと、息子や孫を装い指定された口座に金を振り込ませる手口でしたが、現在はまったく違うものになっている。

その手口は、警察官を騙りLINEなどの通信アプリのビデオ通話で偽の逮捕状や警察手帳などを見せて相手を動揺させて現金を騙し取る。
偽の警察官は、「身の潔白を証明するために口座の現金を確認する必要がある」などと脅すなど、こうしたやり取りを通じて、指定された口座に現金を振り込ますもので、2024年はすでに去年の10倍を超える32件のオレオレ詐欺が発生していて、被害額は1億1400万円にのぼる。
沖縄県警本部組織犯罪対策課・山城裕司次席:
被害者としては自分の地位、環境を守りたいということが、頭の中にどうしてもあると思う。心当たりが無くても、いまの自分の環境や地位を守りたい、痛いところを突かれて引っかかってしまう

手口は生き物のように進化
11月27日に明らかとなった、那覇市の70代女性が被害に遭った警察官を騙るオレオレ詐欺では、これまでに無かった手口として偽の逮捕状が自宅のポストに届いた。
写真は、以前警察官を騙るオレオレ詐欺の被害者のもとに実際に送られてきた偽の逮捕状。

今回、被害に遭った女性のもとにも同様の書式で女性の個人情報などが書かれた偽の逮捕状が届いた。このような手口は県内で初めて確認された。
沖縄県警本部組織犯罪対策課・山城裕司次席は、「犯行の失敗を繰り返すことで騙しのテクニックの経験値を上げてきて、犯行の手口を巧妙化・多様化させ活動範囲も海外から指示をするなど生き物のように進化させている」と指摘する

山城次席は、「警察が電話で現金を要求したり、逮捕状のようなものをポストに投函することは絶対に無い」として不審な点があれば1人で判断せず相談してほしいと呼びかける。
他人事として考えないで情報共有を
毎年、年末にかけて増加傾向にある特殊詐欺。
山城次席は「特殊詐欺被害を他人事と考えずにしっかり情報共有することが被害を防ぐ近道」だと強調する。
沖縄県警本部組織犯罪対策課・山城裕司次席:
自分事として捉えてテレビなどの特殊詐欺の被害を聞いたら家族や知人、友人にも「最近こういったものがあるみたいね」と情報共有することが抑止に繋がる

「何かおかしい…」と感じたときには迷わず相談すること。特殊詐欺被害を他人事だと考えず1人ひとりが注意することが被害を防ぐためには大切だ。
(沖縄テレビ)