燃やしても二酸化炭素が出ない次世代のエネルギーとして注目される「水素」を燃料とするコンロで調理したメニューが味わえる体験会が開かれた。環境に優しく、食材のうまみを生かせる調理法の普及が待たれる。

蒸し焼きでふっくらとした味わいに

11月21日、「水素」の利用拡大を目的に、山形市でガスの販売などを行う山形酸素が、県内で初めて「水素コンロ」の体験会を開いた。

水素を燃料とする「水素コンロ」の特長は2つあると言われている。

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1つ目は「環境に優しいこと」。
水素は燃焼しても二酸化炭素が出ないことから、地球温暖化の要因となる温室効果ガスの排出削減に貢献できるとされている。

2つ目は「食材のうまみを逃がさないこと」。
水素は燃焼すると水が発生することから、蒸し焼きのような状態になり、食材の水分やうまみを逃さず、ふっくらとした味わいになるという。さらに燃焼温度はガスよりも約700℃も高いため、表面はカリッと焼きあがる。

「カリッと食感」「上品な脂になる」

この体験会は国や県・旅行関係者など約50人が参加した。

「プロパンガス」と「水素ガス」を使って調理された肉の食べ比べ
「プロパンガス」と「水素ガス」を使って調理された肉の食べ比べ

会場では、「プロパンガス」と「水素ガス」それぞれを使って調理された肉を、参加者が食べ比べた。

「水素ガスで焼いた方は、より柔らかくて、炭で焼いたようなカリッとした食感もあったので、よりおいしかった」と話す女性の参加者は、「山形酸素の取り組みと一緒に水素コンロが広がれば面白い」と期待を語った。

ワインソムリエの男性は「プロパンガスと比べて、こんなに脂のあたり方が変わるとは思わなかった。このような上品な脂になると、ワインに合わせる幅も広がる」と話した。

旅行プランなどで少しずつ普及へ

新たなエネルギーとして期待される水素ガスだが、その値段はプロパンガスと比べて約2.5倍と高額で、どうコストダウンするかが普及に向けた課題となる。

山形酸素は今後、旅行会社と共同で水素コンロを使った食事が楽しめる旅行プランを企画するなど、少しずつ普及させたい考えだ。

山形酸素の島津康社長は「温暖化の部分を解消できるのは大きい。年に2~3店舗でも導入していければ色んな人の流れを作っていける」と語った。

水素の活用が当たり前になる社会が、すぐそこまで来ているのかもしれない。

(さくらんぼテレビ)

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