「キムさんに『(女性が) 本当に金のありかを知ってるんですか』と聞いたら 『知ってますよ。写真を送ってください』と言われました。送ったらキムさんは『あちゃー人違いですね』と笑っていました」
この記事の画像(11枚)裁判中に、指示役とのやりとりで亡くなった女性が“人違い”だったと分かったと話したのは、強盗致死などの罪に問われ、無期懲役の判決が言い渡された 永田陸人被告(23)です。
自ら“闇バイト”に応募し、「ルフィ」を名乗る男らを指示役とする 広域強盗事件6件で、実行役のリーダーをしていたとされます。
2023年1月、東京・狛江市の住宅で、この家に住む当時90歳の女性が暴行を受け、死亡した事件。他の実行役と共に、家へ侵入した永田被告は、指示役の「キム」と通信アプリ・テレグラムをつなぎ、リアルタイムで指示を受けていました。
そこで永田被告は、他の実行役にバールで女性を殴るよう指示。すると その実行役は、永田被告の想像より強い力で、6回から8回ほど背中や脇などをたたいたといいます。
永田被告は、そのときの心境を「正直に言うと、マジかと思いました」と話す一方で、「やり過ぎだと言うと、メンツがつぶれ、リーダーとしての立場が逆転してしまうので、逆に『おー、やるやん!』と褒めました」と、女性が助けを求めても暴行を続け「娘と息子を殺すぞ。家を燃やすぞ」などと脅迫したといいます。
内心は「やりすぎ」だと感じていながら、なぜ犯行をエスカレートさせていったのか、明星大学心理学部の藤井靖教授は、その心情をこう読み解きます。
明星大学心理学部 藤井靖教授:
心理学で「役割性格」っていう言葉があるんですけれども、ある役割を与えられると、それに応じた行動とか発言をするようになるっていうことなんですよね。
指示役(キム)から「お前はこういう役(実行役リーダー)だ」ということを言われているわけですよね。そうすると、リーダーとして何をすべきか、どう指示をするべきかということが、“自動的に決まってしまうような立場”だったんじゃないかなと思うんですよね。そうすると、そこから抜け出すっていうのはなかなかできない。
暴行を続ける中で、違和感を覚えた永田容疑者は、指示役に「女性が本当に金のありかを知っているのか」と問いかけ、写真を送ったところ返ってきた返答は、笑いながらの「人違いですね」の言葉でした。この言葉に、永田容疑者は激怒したといいます。
永田被告「俺らに報酬はあるんですか、と。被害者のことを考える余裕はありませんでした」
犯行時の詳しい状況を説明した永田被告。自らの量刑について、涙ながらにこう語りました。
永田被告「責任を果たすには、死刑が一番ふさわしいと強く望みます」
(めざまし8 11月8日放送)