日傘推奨の熱中症対策ポスターが話題
少し歩いただけで汗が出てくる暑い日が続く中、一般財団法人日本気象協会が熱中症対策の新しいポスターを制作・公開している。
それがこちら。
【☀️新ポスター公開⛱】
— tenki.jp (@tenkijp) August 12, 2020
日傘で、日陰と距離を持ち歩こう。
「暑さ」と「密接」を同時に対策できる日傘をもっと多くの人に使っていただきたいという想いから、今年もポスターを制作しました。#HIGASAFORALL #日傘 #熱中症 pic.twitter.com/fLPbkD029m
【新ポスター公開】
日傘で、日陰と距離を持ち歩こう。
「暑さ」と「密接」を同時に対策できる日傘をもっと多くの人に使っていただきたいという想いから、今年もポスターを制作しました。
「日傘で、日陰と距離を持ち歩こう。」をコンセプトに、暑さと共に、コロナ対策の密接回避も同時にできる日傘を推奨するポスターだ。
3種類制作されたのだが、どれも赤・青・白・黒の4色を使い、傘や人物だけでなく日陰と日向も表現されているデザイン構成。それぞれ異なった内容のキャッチコピーも印象的だ。
〈ポスターのキャッチコピー〉
・日傘は女っぽいとか、もうやめませんか。
問題は紫外線ではなく偏見です。
・無限に日陰を歩けます。
暑い夏の日、日傘で体感温度は7℃下がる。
・ソーシャルディスタンスがわからないお子さまにどうぞ。
日傘で暑さ対策だけでなく、密集の回避も可能です。
特に話題になっているのが、男性への日傘利用も呼びかける「日傘は女っぽいとか、もうやめませんか。問題は紫外線ではなく偏見です。」。
日傘は日陰を作り、上半身、特に頭部への直射日光を避けることで、体感温度を下げることができるという。それだけでなく、新型コロナウイルスの影響で人との距離が重視される今、最適な距離を自然に確保するのにも一役買うことができる。
日傘のメリットは分かるが、なぜ日本気象協会が熱中症対策として日傘を推奨するのか?今回のポスターを作ることになった経緯とは?
反響やこだわりなどを日本気象協会公式の天気予報専門メディア「tenki.jp」の担当・林健太さんに教えてもらった。
日傘は、男性や子どもにはまだまだ馴染みが薄い
ーーポスターを制作することになったのはどうして?
「熱中症など、気象と関連が深い社会的な課題に対し、クリエイティブの力を掛け合わせて何かアクションできないか」ということで弊社から外部のプランナーさんにお声掛けし、共感いただいたところから企画がスタートしました。ポスターの制作は昨年(2019年)の夏に続いて、今年が2回目となります。
ーーなぜ、数ある熱中症対策で日傘を推奨する?
熱中症の対策は老若男女問わず必要であり、様々な方法がありますが、その中でも「日傘は男性に馴染みが薄いのでは」という考えを基に企画しました。
本企画をきっかけに、皆さんの暑さ対策への意識を高められればと考えています。
ーーこだわりの部分を教えて。
コンセプトの「HIGASA FOR ALL 日陰と距離を持ち歩こう。」です。
日傘は、熱中症の予防に加えて、今年はソーシャルディスタンスの確保といった点においても有効なアイテムと考えていますが、まだまだ男性の方やお子様には馴染みが薄いのが現状です。
その中で、日傘を「無限に日陰と距離を持ち歩けるアイテム」と表現することで、少し見え方も変わってくるのではないかという議論からコンセプトを決めました。
ーー話題になっている印象的なキャッチコピーに至った経緯は?
厳しい暑さから体を守ることに性別は関係ないはずですが、「日傘は女性のもの」といったイメージがまだあるのでは、と感じていたためこのような表現となりました。
日傘をきっかけに毎日の天気予報を役立ててほしい
ーーポスターの反響は?
おかげさまでこの企画に触れた方から「日傘いいじゃん」「日傘使ってみよう」「実際に日傘買いました」といった声も多数頂いています。キャッチコピーに対しても、主にTwitterなどのSNS上で、共感の声を多数お寄せいただきました。
多くの方から共感いただけたことを、ありがたく感じています。
ーー改めて、ポスターで伝えたいことは?
今回のポスターをきっかけに、男女関係なく日傘を使うなどの対策をしていただくことで、暑さ対策への意識が高まり、熱中症になる方が減っていけばと思います。
また、日傘の活用はもちろんですが、同時に毎日の天気予報を気にすることで、気象情報を皆さんの生活のなかで役立てていただければ嬉しいです。
天気にあわせて生活をすることは快適な暮らしにつながるもので、日傘の活用はその1例になると考えています。気象の会社として、天気を身近に感じることで日々の暮らしの中でも天気予報などの情報を役立てていただけると嬉しいです。
去年のコンセプトは「日陰持ち歩き放題」
第1回となった2019年のポスターでは、「MSP(My Shade Portability)日陰持ち歩き放題」と銘打って、日傘を利用することで日陰を持ち歩こう!というメッセージを発信したという。
黄色の背景に赤い文字のデザインは、厳しい暑さを色で表現しているようで、第1回も同様に、老若男女問わず日傘の利用を呼びかけており、特に男性の日傘シェアが少ないことから、男性への呼びかけを強く出していたという。
確かにコピーを見ると、「男らしさ下取りプログラム」と題し「『日傘なんて男らしくない』という固定観念を捨て、日傘を持ち歩いていただいた人に限り、最大99%UVカット!」と書かれている。
日本気象協会が「もっと多くの人に使っていただきたい」と2年連続で訴えている、暑い日々を乗り越えられそうな日傘。
2年目の印象的なキャッチコピーと色使いで話題となったが、毎年、救急搬送される人が出る熱中症に気を付けるためにも、男女問わず日傘の活用を考えてみるのはどうだろうか。
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