ソーシャルディスタンスの2m離れて見る新聞広告が話題

空いた時間をつぶすために、クロスワードやクイズなどに挑戦したことはあるだろう。ちょっとした脳トレーニングとして、こちらの画像を見てほしい。

何と書かれているのか読めるだろうか?(答えは記事下部に記載)

(岐阜新聞社提供)
(岐阜新聞社提供)
この記事の画像(6枚)

ソーシャルディスタンスを表現した紙面です。ステイホーム中の皆さんに楽しみを。

これは、5月6日に岐阜新聞に掲載された「Stay Home」を呼びかける広告。

白い水玉が不規則に散りばめられた11個の黒いマス。一見不思議なアートにしか見えないが、少し距離を置いてよく見てみると…。

紙面にもヒントとして、「2m以上離れて、この紙面を見てください。皆さんの想いが現れます」と書かれている。

(広告内文章 岐阜新聞社提供)
(広告内文章 岐阜新聞社提供)

こちらの新聞広告、Twitterでは読むのに苦労しているコメントも多いが、メッセージを読めた人からは「現代アートだ!」「これはお見事すぎる。」といった絶賛の声が相次いだ。

新型コロナウイルスの影響でソーシャルディスタンスを意識している今、この発想はとても興味深い。

まだ読めていない人は答えが気になると思うが、まずは一体どんな人が、どのようにして制作したのだろうか?岐阜新聞社に直接聞いてみたところ、作成者である営業部の蜂谷優太さんが答えてくれた。

「距離をとること」をアクションとして起こしてもらえる広告に

ーーどのようにして作った?

僕個人でデザインソフトを持っていなかったので、パワーポイントの図形を組み合わせて作成しました。元となる文字の上に黒の四角形を重ね、その上から白の円を文字の空白部分に当てはめて作成しています。


ーーどのようにしてこの広告は思いついたの?

ソーシャルディスタンスを呼びかけると同時に、実際に広告を見た方に「距離をとること」をアクションとして起こしてもらえる広告を作りたいと思い、同じようなコンセプトのデザインの資料を集めて、最終的にあの形になりました。


ーー広告に込められた思いは?

「外出自粛中の皆さんに楽しみを」という思いが、まず第一にあります。さらに、ゴールデンウイーク期間が終了しても、ソーシャルディスタンスを引き続き保った生活を呼びかけて「まだまだ我慢が必要です」ということを岐阜県で発行する地元メディアとして、岐阜県民に伝えたいという思いで制作をいたしました。



岐阜新聞では「Stay Home with newspaper」というキャッチコピーで、ゴールデンウイーク期間中、「遊びに行けない読者に向けた新聞広告を作る」という企画がスタートしたという。

折り紙や塗り絵、クロスワード、料理レシピなど、家で楽しめる広告を掲載した中で、最終日が今回の話題になった広告だった。

(企画の広告 岐阜新聞社提供)
(企画の広告 岐阜新聞社提供)

ーーTwitterなどSNSの反響に対してはどう思う?

想像以上の反響があり、正直かなり驚いています。岐阜だけでなく全国の人に知ってもらえたことは非常に嬉しい限りです。


SNSでの反響は県外の友人からの連絡で知ったという。岐阜新聞のエリア外の人や普段新聞をあまり読まないという若い人からもSNSでメッセージが届いたりと反響の大きさに驚いているとのことだ。

(掲載された広告のクロスワード 岐阜新聞社提供)
(掲載された広告のクロスワード 岐阜新聞社提供)

今回、そもそものデザインが素晴らしいということもあるが、話題となった要因の一つとして、作成者である蜂谷さんが「特にデザインについては勉強らしいものはしていません」と語っていることも理由にありそうだ。

「同僚や家族に確認をしてもらいながら制作しましたが、なかなか初見で読める方は少なかったと思います。特に新聞紙の1ページのサイズで見ると、より読みづらいのではないかと思います。」と制作過程に関しても答えてくれた。

広告の答えはこちら

さて、広告の文字は読めただろうか?

正解は「離れていても 心はひとつ」だ。

(離れて見ると分かる 岐阜新聞社提供)
(離れて見ると分かる 岐阜新聞社提供)

蜂谷さんは「新型コロナウイルスの感染者数は日ごとに減っている状況ですが、『離れていても心はひとつ』に気を引き締めて生活しましょう。収束したらぜひ、岐阜県に来てください!美味しいものもいいトコロもたくさんです!」と新型コロナの収束を願いながらも、前向きに語ってくれた。

東京都内の新型コロナウイルスの感染者は、5月11日には15人と、3月30日以来42日ぶりに1日の感染者の数が20人を下回っている。

落ち着きを見せ始めたかもしれないが、完全な収束までは油断せずに気を引き締めてほしい。

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プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

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