バスケットボールりそなグループB2リーグの熊本ヴォルターズは、チームの原点・益城町で今季初勝利を挙げた。熊本地震後からヴォルターズの応援を続けるブースターの一人、前園真聖さんも会場を訪れチームと勝利を分かち合った。
前園真聖さんが約8年ぶりに益城町を訪問
前園真聖さんは「まだここは道路の工事している。何年前?8年?」と、熊本地震から8年がたつも復興道半ばの益城町の様子を見つめる。

サッカー元日本代表の前園さんは、熊本地震の発災直後から益城町を訪れ、被災状況や当時のヴォルターズを取材。

選手らと共に、練習場が確保できない地域の子供たちのためにバスケットボール教室を開くなど、継続的に支援活動を続け、益城町を背負って戦うヴォルターズの姿を見つめてきた。

10月23日に約8年ぶりに益城町を訪れ、「8年たって『復興が進んでいるな』という一面もあれば、まだ工事している場所もたくさんあったり、『復興には時間がかかるな』という思いで見ていた」と話す。

また、前園さんは「ヴォルターズが復興から目指している『B1リーグに上がる』という目標の一歩手前まで来たり、そういう悔しい思いを僕もしていますけど、僕以上にこれまでのヴォルターズの選手たちや熊本、益城の皆さんはそう感じて、きょう会った方も『勝ってくれ、悔しい』という思いを言っていたが、僕はずっとそこが心残り」と話す。

一方で、「選手はどんどん代わるが、チームに変わりはないから。僕にとってはB1が一番見たい景色、皆さんが望んでいるところだと思うので、『なんとか実現させてもらいたい』という思いで試合を見ている」と、ヴォルターズへの変わらぬ思いを語ってくれた。
満員の観客を前に本村主将が沸かせる
前園さんを含め、満員の観客が会場を埋めつくす中で行われた愛媛との試合。ヴォルターズは、チームの存在意義を受け継ぐ7年目の本村が、開始早々、会場を沸かせる。

本村亮輔主将は試合終了後、「益城の人たちもたくさん来てくれるから、『ルーズボールとかで絶対に負けたくない』とみんなの前で言った。その僕が引っ張っていこうと考えていた」と話す。

気迫あふれるキャプテンのプレーにチームも奮起。第1クオーターからスチールやブロックを連発し、守備から流れを引き寄せると攻撃面では、5試合ぶりの復帰となったラムがチームをけん引し、ヴォルターズがリードして折り返す。

後半も強度の高い守備からテンポよく得点につなげ、最終クオーターには最大で22点差をつけるなど、愛媛を寄せ付けなかったヴォルターズ。チームの原点、益城町でブースターと共に今シーズン初勝利の喜びを分かち合った。

本村主将は「この勝ちから連勝をどれだけつなげられるかだと思うので、もう一回、チーム一丸となって頑張りたい。地震の時はいなかったが、(益城戦は)エネルギーが出るというか、その思いが皆のハードなディフェンスにつながったと思う」と話した。
前園さん「一緒になって応援し続けたい」
そして、この試合のハーフタイムでは、前園さんが8年前、バスケットボール教室で一緒に汗を流した子どもたちと再会。当時の思い出話に花を咲かせ、試合後には、ヴォルターズの選手や、発災当時、所属していた古野拓巳選手らとともに能登半島地震への募金活動を行い、被災地の復興に向けた継続的な支援を訴えた。

前園さんは「新しくなった益城の体育館は初めて来たが、皆さんが一つになって、『このホーム益城で必ず連敗を止めるんだ』という気持ちがブースターや選手から伝わってきた。それが一つになって勝利につながったと思った」と話す。

また、「難しい試合や負けることもあると思うが、応援する皆は、どんなときでもヴォルターズを応援して、支えて、いつかチームの目標が達成されるまで、皆で一緒になって応援し続けたい」と語ってくれた。
(テレビ熊本)