最前線でコロナ対応 久留米市の保健所の今

猛暑が続く福岡・久留米市は、人口30万人の県内第3の都市。
最前線でコロナ対応にあたっている保健所は今、どうなっているのか。取材を申し込むと、保健所ではなく、隣の市役所に来るように言われた。

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本山順子リポーター:
エレベーターで上がってきて、401会議室と書いてあったので、え? と思ったんですが…

そこは、市の職員が会議で使用する大部屋。あちらこちらに医療用マスクなどが入った段ボールが積まれている。

久留米市保健所 保健予防課・石橋真弥課長:
先週の日曜日から、コロナ対応にあたる職員をこちらに集めて対策本部を設置しています

この部屋が、新しく生まれ変わったコロナ対策本部。長期戦にも耐えられる広いスペースが確保されている。

久留米市では、3月31日に最初の感染者を確認。4月22日には、1日で最多となる10人の感染が確認された。
そして7月中旬以降に、複数の感染者が確認されている。

4月当時、保健所は、電話相談や感染経路の調査などに追われ、業務がひっ迫。残業時間が月100時間を超えた職員も少なくなかったという。

そこで、当初8人ほどだった保健師を20人近くに増員。
移送消毒班、医療調整班、帰国者接触者対応班、疫学調査班の4つのチームを横並びに配置し、情報共有をしやすくすることで業務の効率化を図った。

久留米市保健所 保健予防課・石橋真弥課長:
こちら医師の資格を持った職員がいて、検査につなぐかどうかなどの判断も行うので、随時協議をしている。(白板を前に)これはきのう(8月21日)…。今のところ3日ゼロ。ほっとしている

この週の久留米市は、感染者ゼロの日も多く、比較的業務も落ち着いていたというが…。

久留米市保健所 保健予防課・石橋真弥課長:
陽性患者が出続けると、入院の調整をしたり、行動歴を調査して濃厚接触者を特定するなど一定の作業が出てきたりしますので、かなりバタつく

PCR検査の拡充進めるも多くの課題

そして今、保健所が進めているのがPCR検査の拡充。
久留米市では、5月4日に地域外来・検査センターを開設。かかりつけ医などが直接検査の予約を行い、ドライブスルー方式で1日50件程度まで実施できるようになった。
しかし…。

久留米市保健所 保健予防課・石橋真弥課長:
今後のインフルエンザの流行なども考えると、さらに検査できるセンターがあった方がいい

感染症が流行する秋冬までに、もう2カ所ほど検査センターを新設したい考えだが、現実は…。

久留米市保健所 保健予防課・石橋真弥課長:
やはり環境が整っている病院の施設が望ましい。当然、医師や看護師、検体を採取する方など多くのスタッフが必要になるので、簡単に増やすことはできない

一方、久留米医師会の田中会長は、PCR検査の拡充には賛成としながらも、クリアすべき課題は多いという。

久留米医師会・田中会長:
無症状者や軽症者に検査をすると陽性者が増える。隔離、入院、宿舎、自宅療養など、いくつか選択肢があると思うが、どうやって仕分けしていくか。設備を整えることが一番大事。まずは受け入れ体制をきちっとしたうえで、PCR検査を増やすことが必要

「無症状」人向けPCR検査 価格は…

各自治体がPCR検査の拡充をめぐり揺れる中、今、独自の方法で検査に乗り出す病院も出てきている。

仲村健太郎記者:
すでに車が3台ですかね。止まっています。あちらで今、PCR検査が行われているということです

8月20日、福岡・鞍手町の「くらて病院」で行われていたのは、ドライブスルー方式でのPCR検査。発熱などがない、いわゆる「無症状」の人向けに8月、病院が独自に始めたものだ。

ーーこれまで大体どのくらいの件数?

看護師:
400件ぐらいだと思います。予約の受け付けをお電話だとかなりお待たせして、患者さんに申し訳ないことがあったので、今、インターネットで予約を取れるようにしました

仲村健太郎記者:
検査を受ける際、保健所などへの相談は必要ありません。私もこれから受けてみたいと思います

看護師:
こんにちは~、お名前伺ってよろしいですか?

仲村健太郎記者:
仲村健太郎と言います

看護師:
ではすみません。こちら同意書を記入されてください。本日の料金は1万円です

PCR検査は、発熱など感染の疑いがある場合は公費での負担となるが、無症状の場合などは原則「自己負担」。この病院では「1万円」となっている。

看護師:
まず唾液を取る時は、必ず窓を閉めていただきます。ゆっくり下を向いて取っていただいて、取った時に大体これくらいで

渡されたのは、透明のプラスチック容器。そこに利用者自身で唾液を入れていく。

仲村健太郎記者:
これを看護師さんにお渡しします。これでいかがでしょうか

看護師:
はい大丈夫です。お疲れさまでした~

仲村健太郎記者:
もうこれで終わり?

看護師:
終わりです

1日50人という定員は、すぐに予約で埋まってしまうという。
なぜ「無症状」なのに検査を受けるのだろうか?

検査を受けに来た人:
症状は今、全くないが、1週間ぐらい前に38度ぐらい熱があったので、もしかかっていたら周りに迷惑がかかると思った

検査を受けにきた人:
「会社でみんな受けるから」みたいな。(全員ここで?)そうです

検査を受けにきた人:
自分が福岡で1人暮らししてて、お盆から時期ずらして帰省しようとして、受けとかないと家族が心配だった

検査を受けにきた人:
近くで感染者があったので、それで念のために。(値段については?)今のこういう状況なので、1万円で安心できるんだったらいいと思う

検査結果は「当日中」に判明

そして、この病院のPCR検査には大きな特徴がある。実は、利用者が検査の結果を「当日中」に知ることができる。

ーー機械がずらりと並んでいるが?

くらて病院・河野公俊理事長:
実際にサンプル取って、ここで実際にウイルスの検知することをやっているので、運搬する手間もないし、それでその日のうちに結果出せます

県内では、無症状の人向けのPCR検査を行う医療機関が増えている。
ただ、そのほとんどが唾液などの検体を取るだけで、検査自体は民間の専門業者に委託しているため、結果が判明するのに数日かかることが多い。
一方、くらて病院では7月、自ら検査機器を導入。院内で素早く検査できるため、その日のうちに結果がわかる。

ーー自ら検査機器を導入した理由は?

くらて病院・河野公俊理事長:
入院患者さんを入れて、その方がコロナではないと早く結論を出してあげないと。病棟とか看護師さんたちの感染のリスクを下げるためには、非常に重要なことなので、早く(検査)したいと。結果的に病院に入院される方。そんなに数が多くないので、余力があって機械が休んでいるので、今回こういうことを住民の方に提供しようかなと

ただ、検査機器の導入にあたっては、500万円近くの出費がかさんだ。

さらに、こんな事情も…。

くらて病院・河野公俊理事長:
4月には購入しようと。早く自分たちで結果を出したいというのがあったので、購入を決めたが、機械の購入まで2カ月ぐらいかかった。非常に機械が品薄でした

そのうえ欠かせないのが、検査を行う熟練した人手の確保だった。だが、この課題については偶然にも…。

くらて病院・河野公俊理事長:
僕たちは、たまたまほとんどプロみたいなもの。これでずっと大学で研究してきたわけだから、非常にスムーズに導入できた

ーー同じようにほかの病院で自前で導入する余力は…

くらて病院・河野公俊理事長:
なかなか多分、人的とか機械の設備そろえることとか、けっこう困難なことが多いかもしれない

幸運な状況も重なり、自前の機器での検査ができたくらて病院。予約は、10月まで入っているという。

検査から約4時間。

仲村健太郎記者:
あっ、来ましたね、病院から電話です

病院の担当者:
本日の検査の結果がわかりましたのでご連絡です。健太郎さまの検体からは、ウイルスは検出されませんでした。また本日以降、十分に気をつけてお過ごしになってください

(テレビ西日本)