10月14日に開業した長崎市の長崎スタジアムシティのハピネスアリーナ初の音楽イベント。「ハピネスアリーナこけら落としさだまさしチャリティーコンサート 長崎から、能登へ!」が19日に行われ、さださんと出演者、そして集まった5000人の来場者が心を一つにして能登半島地震の被災地に向けエールを送った。
ハピアリ初の音楽イベントに5万近い応募者殺到
用意されたアリーナ席5000に対して4万8000の応募があったという。
この記事の画像(10枚)今回のコンサートは長崎市出身でシンガーソングライターのさだまさしさんをホストに、さださんが直接呼びかけ、二つ返事で出演を決めたという歌手の岩崎宏美さんやヴォーカル・グループのゴスペラーズ、シンガーソングライターのスガ シカオさん、演歌歌手の水谷千重子さん、そして現在はさださんの個人事務所の社長を務めるフォークデュオ・グレープの吉田正美さんの合計5組の豪華ゲストが登場した。
能登への思いを込め 収益は全額寄付
コンサートの開演に先立ち、さださんとジャパネットホールディングスの高田旭人社長、「ジャパネットたかた」創業者で前社長の高田明さんが登壇し、特別トークショーも開かれた(※高ははしご高)。
その中でさださんは「今年1月に能登半島地震が起きて、ようやく能登の人たちがこのままではいけない頑張らなきゃと思っていた矢先に9月に今度は豪雨災害が起きて、もう本当に今一番苦しい時期だと思う」と話し、ジャパネットと準備を進める中で、「今回のコンサートを能登へのチャリティーコンサートとして開催したい」というさださんの強い思いにジャパネットが応えてくれたと明かした。
高田旭人社長は「悲しいニュースを見ると悲しくなるが、その気持ちをシェアするのではなく、自分が苦しむよりも元気に、その代わりにできることをやるというのが正しいバランスだと個人的には思っている。いただいたチケット代は被災地に届けて、きょうは悲しみを忘れて思い切り楽しんでほしい」と話した。コンサートの運営費などはジャパネットが全て負担するため、チケットの5000円は全て能登半島の災害支援のために寄付されることになっている。
豪華ゲストたちの感動のステージ
コンサートのトップバッターはフォークデュオ「グレープ」。
眼鏡橋や思案橋など長崎の名所が次々と歌詞に出てくるグレープがアマチュア時代に作った「紫陽花の詩(うた)」。さださんは「長崎でグレープとしてこの曲を歌うのは感慨深い」と、結成から52年が経ち苦楽を共にした“相棒”との時間を噛みしめているようだった。その後は「精霊流し」「殺風景」と続き、次のゲストへバトンタッチ。
2024年12月にデビュー30周年を迎えるゴスペラーズは代表曲の「ひとり」をはじめ、平成・昭和のヒット曲をアカペラで歌い上げた。
きらびやかなドレスに身を包み登場した岩崎宏美さんは、代表曲「ロマンス」やさださんが楽曲提供した「残したい花について」。そして「この曲を歌っていた20代の頃にはわからなかったが、今なら思いも乗せて」と言い、戦場で疲れた人々を癒す聖母を歌った「聖母たちのララバイ」を披露した。
シンガーソングライターのスガ シカオさんは、アコースティックギター一本でステージに立ち「夜空のムコウ」や「Progress」など3曲を歌った。スガさんは自らもギターを手に能登の避難所を回り、2日で8公演をするなどして支援を行ってきたという。
演歌歌手の水谷千重子さんは色鮮やかな着物で登場。オリジナル曲などを伸びやかな声で歌い上げ、軽快なトークでも会場の笑いを誘っていた。
被災地へのエールを来場者と共に
そして、ステージのとりを務めたのはさだまさしさん。
「案山子」「道化師のソネット」「秋桜」「北の国から」「いのちの理由」をトークを交えながら披露。その中でさださんは「今回のコンサートを能登の人にも届けようと被災地でのライブ中継に向けて動いていた。しかし9月の豪雨災害で疲弊してなかなかみんなで音楽を聴こうというところまでは心が落ち着いていない。長崎は『長崎大水害』や『雲仙普賢岳噴火災害』の時に日本中が応援してくれた。その時の『がんばれ、長崎がんばれ』という声は胸に染みた。その恩はどっかで返さなきゃいけないと思っていた」と語り、コンサートの収益金の全てと映像を被災地に届けると約束したうえで、来場者に能登へのエールを呼び掛けた。
来場者は声をひとつにして「能登、がんばれー!」と、何度も被災地にエールを送った。
平和への思いも 音楽は平和の象徴
最後の曲が終わりステージをあとにするも、会場からは長崎でアンコールを意味する「もってこい」コールが。するとさださんはすぐにステージに戻り、「もってこいにはよわかっさね~こんままでは帰れんばい」と長崎弁も披露した。
コンサートの中で、さださんは最後に「平和」への思いも語った。
自身が1987年に始め2006年まで行っていた無料の野外コンサート「夏、長崎から」で、「無料」にこだわった理由について「お金を取ると子供がお留守番になってしまう。無料にすることで家族みんなで来てほしかった。家族で音楽を聴くことは平和の象徴。音楽は平和だからこそできる」と語った。そして「5分でいい。あなたの大切な人の笑顔を思い浮かべる時間を作り、その笑顔を守るために何ができるか考えてほしい」と呼び掛けた。
長崎は原爆が投下されて2025年で80年の節目の年を迎える。さださんは被爆80年に向けて地元長崎でのコンサートをしたいと話していて、被爆地・長崎から歌で「平和」を伝える。
(テレビ長崎)