「ひどい状態です。敷地にはゴミ袋が大量に積まれています」と取材班が驚いた北九州市小倉北区のゴミ屋敷。取材をしたのは7年前の2017年。家の周囲を覆い尽くすように積み上げられたゴミ袋の中身は、ほとんどが衣類だった。そして大量のプラスチックケースには、がっちりと南京錠がかけられていた。「使いたいから着物ばっかりよ。みんな良い着物をいっぱい捨てるんよ」と当時の家主は話していた。

7年後の2024年10月、同じゴミ屋敷のその後を取材した。見えてきたのは新たな問題だった。
7年前に取材したゴミ屋敷を再訪
地元のタクシー運転手にゴミが溜まっている家について尋ねると「ゴミ?ひょっとしたらあの家かな?」と目星がつくようすだった。取材から7年が経った現在も、あのゴミ屋敷は市民から知られた存在のようだ。

「あ~、ここだ」。7年振りに訪れたゴミ屋敷。月日が流れ、以前は山のように積まれていたゴミ袋も減り、敷地内に全て収まっている。しかし、窓を見ると家の中にはまだモノが大量にあるのが確認できる。7年前との大きな違いは、家の前に「青森ナンバー」の軽乗用車が停まっていたこと。家の持ち主が変わったのか?

「当時の画像を見ると玄関も全てゴミだったんですけど、いまは足の踏み場もあり、呼び鈴もならせるので…。でも、玄関から人が出て来れるような状況じゃないですね」とゴミ屋敷の印象を話しながら取材班が玄関で呼び鈴を鳴らした。
青森ナンバーの軽自動車の正体は
呼び鈴を押しても住宅内部からの応答はない。家の周囲には牛乳パックやたばこの吸い殻など、小さなごみも落ちていて不法投棄をしないように呼びかける張り紙も目立つ。

取材中、ひとりの男性が現場に現れた。聞けば、市役所の職員だという。何のために現れたのか?暫くして、意外な理由が判明した。職員は家の前に停まっていた軽乗用車に「警告書」を貼りに来たのだ。この青森ナンバーの軽自動車、実は家主のものではなく不法投棄されたものだった。

持ち主の80代女性は半年間入院
「最近、全然見かけないですね」。近隣の住人によるとこの家の女性は現在80代。しかし最近、姿を見ることがなくなったという。さらに別の隣人からは「この家は空き家ですよ」という意外な情報ももたらされた。ゴミが積み上げられた家の持ち主は一体どこへ行ったのか?

「入院して、今年よね、最近、帰って来た。たまたまそこに座ってたから、そのとき聞いたら、いまはここに住めないから近くに住んでるって」と事情に詳しい人から家主の情報を聞く。

家主の女性は2023年に体調を崩し、それから半年以上に渡り入院していて、現在は、ゴミ屋敷の近くに住んでいるというのだ。

「こんにちは~」家主の女性が住んでいる場所を尋ねる取材班。女性はちょうど、仕事から帰って来たばかりだだった。「連れていかれてね。大変やった」と開口一番、病院に入っていたことを話し始める女性。

青森ナンバーの軽自動車について聞くと「そうなんですよ。どけてくれないんですよ」と困惑した表情を見せた。青森ナンバーの軽自動車は断りもなく乗り捨てられているのだという。

ゴミ屋敷の掃除については「いとこがいるから、その人に付き添ってやらせてもらいました。(あそこのお家は今後)お金かけてね、きれいにしようと思います」と女性は語った。

7年前と比べ、少しは片付けられたように見えるゴミ屋敷。家の持ち主の高齢化で住む人がいない空き家となり、新たな問題が浮上している。
(テレビ西日本)