奥能登豪雨で被害を受けながらもわずか4日で営業を再開したカフェが輪島市南志見地区にある。「誰かが動き出したら周りも動き出す」いち早く前を向いて動き出した男性の思いを取材した。

豪雨災害からわずか4日で再開「ココハサトマチ」
輪島市の南志見地区。9月25日、豪雨災害からわずか4日で1軒のカフェ『ココハサトマチ』が営業を再開させた。「こんなん早くないとだめ。みんな食うものとか飲み物とか困っている」再開の理由をこう話すのは店主の奥田和也(おくだかずや)さん。断水が続く中での再開だった。

9月21日、店がある南志見地区では近くの川が増水し住宅や堤防を飲み込んだ。「どんどんひどくなったし行くところもないし。そのへんまで水が来ていて避難しろって言うけど行くところもないし逃げるタイミングを失った。判断が遅かったんやけど。」当時の状況を奥田さんはこう振り返る。開店準備中だった奥田さんと社員は一時、孤立状態に。店は浸水を免れたものの作業場として使っていた倉庫には泥が流れ込んだ。

2017年、父の故郷だった輪島市に移住しカフェ『ココハサトマチ』を始めた奥田さん。店がある輪島市里町の地名が名前の由来だ。元日の能登半島地震で店は被災したが、復旧工事や公費解体を行う作業員に弁当を提供するなど何とか営業を続けてきた。その矢先の豪雨災害。再び、水や電気のない生活に戻ることを余儀なくされた。
「被災者は被災者やけど動ける」
9月24日、奥田さんは車を走らせていた。南志見地区の隣に位置する町野町の自宅に豪雨のあと初めて帰るという。「ああひどいな」車窓から見る景色に言葉を失う。町野町も川が氾濫し甚大な被害を受けていた。自宅に到着した奥田さん。泥がついていたものの、思っていたほど深刻な被害はなかった。「被災者は被災者やけど動ける。家もお店も浸かってしまっていたらできんけど、俺ら浸かっていないしやれる。誰かそうやって動き出したら必ず周りも動き出す」こう話した奥田さん。断水が続く中、店を再開させることを決めた。


断水が続く中、店を再開
翌日、電気が通るようになった店に開店準備をする奥田さんの姿があった。社員も「震災も豪雨災害も社長が前向きに、復興にむけて頑張ってくれているので私たちも頑張らんなん」と集まった。調理に使う水はポリタンクで給水し運んできたという。メニューはこれまで通り。常連客20人分の弁当を用意した。

店がオープンすると早速、復旧工事の現場で働く作業員が弁当を取りにきた。「いらっしゃい」奥田さんは常連客に声をかける。「きょうからやっているし、また対応するから多少無理も言ってください」店内で弁当を食べていた客に話を聞くと「おいしいです。いつも食べている元気をもらっている。」「電気がついているだけでのぼりがでるだけで前向きになれる。みんな下向いているので明るくなる。」と嬉しそう。「また昼からもがんばってきます」「ごちそうさまでした」と奥田さんに声をかけて帰っていった。

店の名前は『ココハサトマチ』度重なる災害があってもこの地で営業を続けている。
(石川テレビ)