(1)勉強する「前」に模擬試験を行う
勉強する前に過去問を解くのは、一見理不尽に思えるが、2つの理由で勉強効率が非常に高い。
まず、何も知らない状態で過去問を10~20年分解けば、当然間違えまくるが、試験に出る内容への感度が非常に高まるので、試験に出そうな内容だけ勉強できるようになり、暗記に必要な労力が3割程度に減る。
さらに、脳科学には「ハイパーコレクション」というものがあり、人間の脳は間違えた事柄を強く記憶するので、過去問を全然解けずメンタル的にしんどい思いをするのは、理にかなっている。

たとえば、「オーストラリアの首都はどこ?」という質問に「シドニー」と間違えて答えた記憶がある人は、恥という「記憶のトリガー」があるので、正解である「キャンベラ」を長期記憶として保ちやすい。
だから問題を解くときは、答えや解き方がパッとわからなくても、すぐ解説を見たり、人に聞いたりせず、十分に悩んでから答え合わせをする癖をつけよう。
キーワードは「想起間隔」と「練習」
(2)間隔を空けて練習と模擬試験を繰り返す
忘れそうなころに積極的に思い出す「想起学習」を行うと、短期記憶は長期記憶に移行する。想起学習には、模擬試験だけでなく、想起間隔と練習も重要である。
●想起間隔:
2〜3日後・1週間後・1か月後というふうに徐々に想起間隔を延ばしていくと、忘れそうなころにちょうど思い出せる。最適な想起間隔は、記憶を保持したい期間によって異なり、長い保持期間ほど長い想起間隔を要する。思い出すべきタイミングにアラートしてくれる、フラッシュカードのアプリを利用するのも効果的だ(例:Anki)。