福岡市などで中国人観光客を相手に無許可でタクシー営業をする、いわゆる「白タク行為」をした疑いで、中国籍の男3人が逮捕された。
道路運送法違反の疑いで逮捕されたのは、福岡市南区の会社員、ホアン・ルイチェン容疑者ら、いずれも中国籍の男3人。警察によると3人は2024年8月、国の許可を得ずに福岡市博多区の中央ふ頭クルーズセンターで中国人観光客の親子3人を有料で車に乗せ、太宰府市などへ運ぶ、いわゆる白タク行為をした疑いが持たれている。

ホアン容疑者がスマホアプリで客を募って、ほかの2人が車の運転や手配を行い、客から1日あたり4万円の報酬を受け取っていたとみられている。
インバウンド需要復活で白タク横行
コロナ禍が収束して以降、インバウンドの需要が復活したことに合わせて広がっている可能性があるという白タク行為。今回、3人が逮捕される前に事件の舞台となったのは中央ふ頭クルーズセンターだ。前日に現場で取材した記者は「いま、白タクと見られる車に観光客が乗り込んで行っています」と疑いのある光景を目にしていた。付近には自家用車ナンバーのワゴン車が複数台、停車していて次々と観光客が乗り込んでいたのだ。これらの車も白タクなのか?

逮捕された3人は警察の調べに対し、いずれも容疑を一部否認していて、ホアン容疑者は「お金は、もらっていません」などと話しているという。警察は、3人が白タクを始めた時期や売り上げの規模などを詳しく調べている。
運転手「友人を乗せているだけ」
この違法な白タクだが、コロナ禍が明けて外国人観光客が急速に回復したのに伴い、白タク行為も再び増えているとみられている。白タクは普通の車と見分けがつかない上に、運転手は「友人を乗せているだけ」と言い逃れすることが多い。また現金での支払いを確認しにくいため警察としては摘発が難しいとされている。

「言葉が通じるタクシー」と認識か
一方で、主な利用者である外国人観光客の目線で考えると、まず利用客に罰則はない。さらにスマホアプリで簡単に予約が出来る。それ故に外国人観光客のなかには「違法な営業」という認識がないままに日本において「言葉が通じる便利なタクシー」として利用している人も多いのが実態だ。

インバウンドが急増するなかで外国語が使える運転手の需要が高まっている。しかし白タク行為は違法であり安全性も確保できないので、警察は今回の事件で売り上げの規模や余罪についても詳しく調べている。
(テレビ西日本)