5度目の挑戦でついにつかんだ念願の自民党総裁の“イス”。
石破茂氏が新総裁に選ばれたその瞬間、場内は大きくどよめいた。
5度目の挑戦で石破茂氏が念願の自民党総裁に
自民党本部(27日午後3時20分ごろ):
議員票は、高市早苗君173票、石場茂君189票。
都道府県票は、高市早苗君21票、石場茂君26票。
合計は、高市早苗君194票、石場茂君215票であります。
石場茂君をもって当選者と決しました。
場内の議員らに何度もおじみをし、右手を大きく上げた石破氏。
その目には、涙がにじんでいるようにも見えた。
石破氏の地元・鳥取市でも歓喜の声が…。
自民党・石破茂新総裁(67):
この日本国をもう一度、皆が笑顔で暮らせる、安全で安心な国にするために。石破茂、全力全霊を尽くしてまいります。
逆転に次ぐ逆転劇の末に、なぜ石破氏が自民党新総裁、そして次期首相の座にたどり着いたのだろうか。
決戦の朝、自民党総裁選の「3強」といわれていた各候補は、それぞれの陣営での集会に臨んでいた。
決戦の朝「3強」候補は…
今回が5回目で、これが最後の総裁選挑戦としている石破茂候補。
石破茂氏:
この戦い、必ず勝たねばなりません。
その手元には“必勝パン”。
さらに昼食には験担ぎの定番、“カツカレー”を頬張っていた。
石破茂氏:
カレーは食べるもんじゃなくて飲むもんです。
決戦投票が確実との見方の中で、国会議員票を獲得するためにどんな秘策があるのか。
高市陣営の決起集会では、駆けつけた地方議員からこんなエールが…。
地方議員:
サッチャーさんの“鉄の女”になるんだけど、僕は前から言ってるように、鉄の女じゃない、もう真鋼(まはがね)の女、日本刀のような真鋼の女。高市さんは美しい。まさしく崇高だと。
高市早苗氏:
今、美しいと言っていただきましたが、きょう、かなり残念な顔になってます。なぜかというと、きのう主人のいびきがうるさくて(眠れなかった)。
そんな高市候補に関し、本番直前で駆け巡った“重大な情報”。
党内に唯一残った派閥で、54人を擁する麻生派のトップ・麻生太郎元首相が、決戦投票で高市氏を支持する方向が明らかになったのだ。
総裁選の情勢に大きな影響を及ぼす麻生氏の後ろ盾。
27日朝、その点を問われた高市氏は、「もしそういうお心遣いをいただいたなら、大変光栄に存じます」と話していた。
一方、総裁選当初は圧倒的優位との下馬評だった小泉候補。
小泉進次郎氏:
始まった時は、15日間長いなぁと思いました。だけど今、15日目に思うことは、明日からまた このチームとずっとやりたい。ギリギリこのしがみついているこの状況からはい上がって、頂上目指して。
三原じゅん子参院議員(小泉進次郎氏決起集会):
古い政治に決着!決まらない政治に決着!新時代の扉を開けよう!
そして午後1時、まずは第1回目の国会議員の投票がスタート。
1回目の投票で新総裁が決まるには、投員票とあわせた総得票のうち、過半数368票が必要。
どの候補も過半数に達しない場合は、決戦投票。
その場合、2位以内に入らないとならない。
投票の様子を小泉氏は、隣の議員と談笑しながら、高市氏は真顔で見つめていた。
まず発表されたのが、議員票。
自民党総裁選進行:
議員票は、高市早苗君72票、小泉進次郎君75票、石破茂君46票。
議員票では、ほかの候補を引き離しているとみられていた小泉氏が75票にとどまる一方で、高市氏がそれに肉迫する72票。
伸び悩みを見せる小泉氏、それが影響したかはわからないが、投員票の発表でこんな一幕も。
自民党総裁選進行:
小泉君16票。失礼いたしました。大変失礼いたしました。小泉進次郎君61票。
そして。党員票をあわせた総得票数が発表された。
自民党総裁選進行:
合計は、高市君181票、小泉君136票、石破君154票。
この瞬間、小泉氏が決戦投票に残れず3位という大波乱。
予想外となった1位で決戦投票に向かう、高市氏の地元・奈良では、早くもケーキの振る舞いが。
そして石破氏は、決戦投票が決まった瞬間、大きく何度もうなずいていた。
高市候補と石破候補の組み合わせとなった決戦投票。
決戦投票での麻生氏の支持を取りつけていた高市氏は、石破氏との決戦投票になれば優位に立つとこの時はまだみられていた。
ところが…。
自民党総裁選進行:
議員票は、高市早苗君173票、石破茂君189票。
不利とみられていた議員票でも、石破氏が高市氏を上回ったのだ。
自民党総裁選進行:
合計は、高市早苗君194票、石破茂君215票であります。石破茂君をもって当選者と決しました。
驚きに包まれる総裁選の会場。
この結末を驚きをもって受け止めたのは、ほかにも。
石破氏が新総裁に選ばれた直後、為替が大きく円高に動いた。
その理由について、フジテレビ・智田裕一解説副委員長は「株価の方は、高市さんの経済政策に期待して動いていまして、日経平均株価は取引が終わる午後3時には900円以上も値を上げました。高市さんは日銀の利上げに反対していましたので、日銀が金利を上げにくくなるという見方から、1ドル = 146円台まで円安が進んで、企業業績にはプラスだという見方が広がっていたんです。ところが決戦投票で石破さんさんに決まりますと、高市さんに期待して強まっていた円安が一転して、一気に円高へと反転したんです」と説明する。
総裁選で及ばなかった高市氏・小泉氏の両氏は、
高市早苗氏:
私の敗北は私自身の力不足でございます。多くの方に助けていただきながら申し訳ないことだったと思っております。
小泉進次郎氏:
私は自分ができることをしっかりと実行して、お支えをしていきたいと思います。
石破氏は10月1日の臨時国会で、第102代の首相に就任する見通し。
(「イット!」9月27日放送より)