iPS細胞を使って、1型糖尿病の患者を治療する新たな治験を京都大学附属病院などが始めると発表した。
インスリン注射を打つ必要がなくなるかもしれない。
【動画で見る】1型糖尿病の治療に期待 iPS細胞から作製した膵島細胞をシート状に加工
京都大学医学部付属病院移植外科・穴澤貴行講師:最も革新的なところはiPS細胞を使うことが一番の特徴。安全性が高く、効果も高い。
京都大学附属病院は2日、会見を開き、来年からiPS細胞を使って、1型糖尿病患者に対する治験を始めると発表した。
■膵島細胞の移植手術は提供者不足などが問題となっていた

1型糖尿病の患者は血糖値を下げるインスリンを分泌する膵島(すいとう)細胞が正常に働かないため、インスリン注射を打つことで血糖値を安定させている。
これまで、治療の選択肢の一つとして亡くなった人の膵臓から膵島細胞を取り出して、重症者に移植する手術があるが、提供者不足などが問題となっていた。
■iPS細胞から作製した膵島をシート状に加工する技術を開発
そこで京都大学附属病院は、iPS細胞から作製した膵島をシート状に加工する技術を開発。
シート状の膵島細胞を患者の腹部に移植することで、インスリン注射をしなくても血糖値を安定させる効果が期待できるということだ。
京都大学医学部付属病院・糖尿病・内分泌・栄養内科 矢部大介教授:重症低血糖で救急搬送されるリスクが減る。将来的に期待することはインスリンの注射回数が減る。これはベストケースですけどインスリンの注射をしないでいいような世界が見えてくるとうれしい。
京都大学附属病院は、早ければ来年から重症患者を対象に治験を始め、2030年以降の実用化を目指している。
■画期的、ドナー不足の問題などの課題が解決に

共同通信社 編集委員 太田昌克さん:治験がうまくいって、ベストケースになればとおっしゃってたのですが、実現すれば日本初の糖尿病に対する革新的な技術が世界に広がっていく光景を是非見たいですね。
関西テレビ・加藤さゆり報道デスク:1型糖尿病の方は、1日に何回もインスリン注射を打たなきゃいけないんですよね。気付いたら無自覚のうちに低血糖になってしまって、救急搬送される方も結構いらっしゃるんですよね。そういった方々にとってはこうした移植によって、血糖値を自分で判断しながら、インスリンを出してくれるっていうことができるようになったら、本当に画期的ですし、ドナー不足の問題などの課題が解決されることを願います。
安全性の治験が、2030年頃終了する予定で、実用化はそれ以降になりそうだが、1日も早い実用化を期待したい。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年9月2日放送)