「やばいです。寝れなかったです」と、ドラフト会議を前に緊張した表情で語る近畿大学の勝田成(かつだなる)選手。

「もう願うしかないんで、早くその時を待ちたいです」と、運命の日に向けた心境を吐露した。

身長163センチ。その小柄な体格から、プロは無理だと言われ続けてきた勝田選手だが、夢が叶えば、プロ野球界で最も小さな選手になる。

しかし、その小さな体を武器に変えるだけの実力を持ち合わせていた。


■「小さいからコンプレックスを感じたことがない」

身長163センチ。その小柄な体格から、プロは無理だと言われ続けてきた勝田選手だが、もし夢が叶えば、プロ野球界で最も小さな選手になる。

しかし、その小さな体を武器に変えるだけの実力を持ち合わせていた。

近畿大学でセカンドを守る勝田選手の最大の強みは守備力。

公式戦では1年間エラーなしという鉄壁ぶりを見せた。

さらに、リーグ通算打率.344、106安打(歴代15位)という打撃力も魅力だ。その実力は大学日本代表に選ばれるほどだった。

勝田選手は自身の小柄な体格について「別に小さいからコンプレックスって感じたことがなくて」と前向き。

「みんな小さいからプロに行けないんじゃないかとか、小さいからプロの球を打てないじゃないかということばっか言われるんですけど、小さくても打てる」と自信を見せる。

そして「自分みたいな小さい選手に夢や希望を当たるような存在になりたい」と視線は常に前向きだ。

■“最強の応援団”お兄ちゃんとお姉ちゃん

このようにポジティブな姿勢を持てるのは、大好きな兄と姉の存在があったからだ。

3きょうだいの末っ子として生まれた勝田選手は、6歳上の兄、隆さんに連れられて2歳の時に野球を始めた。

「お兄ちゃんに負けたくない一心で」ボールを追いかけ、野球の腕を磨いていった勝田選手。

「自分が野球するのもお兄ちゃんが生まれてなかったらしてないですし。お兄ちゃんが(野球)やるから、『やる』って感じでした」と兄の影響の大きさを語る。

姉の舞さんも重要な存在だ。「すぐマメに連絡くれる。1から10まで全部話してます。野球もプライベートも全部」と姉との深い絆を明かした。

勝田選手の母、明子さんは「お兄ちゃんお姉ちゃんは常に成の応援隊です。お兄ちゃんとお姉ちゃんがいるからあの子がいるので、二人の愛情を一杯に育った子です」と笑顔で語る。

父の雄一さんも「誰かが欠けてもあかんって感じで。今は野球に来てますけど、お姉ちゃんがダンスをしているときはみんなで応援に行くし、みんなで動いている家庭ですね」と、家族の絆の強さを強調した。

■「小さい」から生まれた大きな夢

小さいからプロは無理。周囲からそう言われてきても、家族の支えがあったからこそ、勝田選手は夢を追い続けることができた。

小学2年生の時に書いた文集には「プロやきゅうせんしゅになっています。今はキャンプでもうとっくんしています。プロ野球のしあいでぜんぶのチームにかってゆうしょうしてみせます」と夢を綴っていた勝田少年。

数々の努力をへて、いよいよ、その夢まであと一歩のところまでたどり着いた。

【兄・隆さん(27)】「やれることはやったと思うので、あとはいい結果が迎えられるように」

【姉・舞さん(26)】「やることはやったし、後悔もないやろうし、どっちに転んでも家族がいるんで、安心してください」

■契約金は「兄の結婚式に使いたい」

そして、運命の日、ドラフト会議。

広島東洋カープから3位で指名を受けた勝田選手。野球の実力はもちろん、ひたむきに野球をする姿勢が評価された。

「小さいからプロになれないというのは言い訳だと思っているので、まずは自分がプロの世界で活躍して、諦めかけている小さな選手に夢や希望を与えられるような存在になりたいです」と意気込みを語った勝田選手。

そして、家族への感謝も忘れなかった。

【勝田成選手(22)】「ずっと支えてきてくれたので、次は自分が支える立場になりたいです」

そして、契約金の使い道を問われると「一発目は兄の結婚式に使いたいなと思います」と答え、会場を温かい雰囲気で包んだ。

小さな体から生まれた大きな夢。勝田選手のプロ野球での活躍が今、始まろうとしている。

(関西テレビ「newsランナー」2025年10月27日放送)

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