2024年も“もちもち食感”がたまらない「メジカの新子」の季節がやってきた。多くの人に楽しんでもらおうと、高知・中土佐町では入荷状況を観光協会のホームページなどに表示するなど“メジカ革命”が始まった。
地元でしか食べられない“幻の魚”
中土佐町にある久礼大正町市場。午前中からあちこちの店に列ができていた。
この記事の画像(15枚)お目当ては今が旬のメジカの新子だ。
幸進丸 又川二三江さんは、「きのうまで、これ(小さいメジカ)ばっかりとれてました。きょうは小さいメジカもあるけど、大きいメジカだと料理しやすいし、もっちりしておいしい。これくらいがベストかな」と語った。
メジカの新子とは、マルソウダガツオの幼魚のことで、とれるのは8月から10月の3カ月のみ。鮮度が落ちやすく、地元でしか食べられない“幻の魚”だ。
弾力がすごく、かむと身が押し返すほど。ブシュカンの香りが鼻からふわっと抜けて、さっぱり、いくらでも食べられそうだ。
2024年の水揚げ量は、2023年の約1.5倍。県内外から客が訪れるため、昼前に売り切れることもある。
兵庫から訪れた家族は「(列の)一番で!朝一、4時台に出てきた」「めちゃくちゃぷにぷにしてて、ちょっとだけ酸っぱくておいしかった。妹は、めちゃくちゃいっぱい食べてた」「おいしかった」などと話していた。
デジタル化で入荷状況が一目瞭然
新子をより楽しんでもらおうと市場で始まったのが、“メジカ革命”だ。
大正町市場協同組合 田中隆博代表理事は「漁師町でデジタル化が進まないので、『じゃあ一発、久礼から始めてみようか』と。(客が新子を食べに)とりあえず来たら、きょうは船が出てなかったとか、“ハズレな日”も多かったので、デジタルで解消しようかと」と話す。
「なかとさ観光協会」は、市場や道の駅など新子を提供する9カ所にタブレット端末を配布し、入荷状況を入力してもらうことにした。
情報は、観光協会のホームページやアーケードなど2カ所にあるモニターで確認でき、入荷状況が一目で分かるようになっている。
観光拠点施設「ぜよぴあ」では、兵庫から訪れた男性から「売り切れていたら別の店に行って、まだあるんだったら食べられないで帰ることがなくなるので、いいと思いますね」といった声が聞かれるなど効果は上々のようだ。
久礼大正町市場事務局 久竹庸代さんは「(メジカは)その日にならないと入荷状況とかが分からないのですが、電話の問い合わせがとても多くて、事務局の方で担当していたんですけど、その手間がなくなってありがたいです」と語る。
“いけす”でも提供 販売場所を分散
さらに客の混雑を避けるため、メジカの販売場所を分散させている。
「道の駅 なかとさ」のすぐ近く、久礼新港に停泊する漁船・皐丸では、いけすで泳ぐメジカを販売している。
デジタル化について、皐丸 池田学さんは「効果はあると思います。やたら客が来だしたなと思ったら、みんな売り切れなっちょったりして。向こう(市場)はね」と語った。
足がはやいメジカだが、いけすで泳いでいるメジカを新鮮な状態で居酒屋に提供でき、“夜メジカ”が楽しめる店もあるという。
「(客の)世代も地域ももっと広がって認知されるというのが僕らの夢なので、デジタルの情報発信は本当に大事になってくる」と語る田中代表理事。「漁師町のデジタル革命、メジカ革命やるぞ~!」と声を上げた。
メジカの新子の旬は、10月中ごろまで続く。
新子は最近大人気でなかなか買えないが、売り場を分散しスマホで店を探せるというのはありがたい。
また、久礼大正町市場では電話対応は行っていないということで注意が必要だ。
(高知さんさんテレビ)