自転車競技を始めてわずか4カ月で全国優勝した愛媛県の中学2年生。国のプロジェクトでもその才能が目にとまり、日本自転車競技連盟の指導を受けるプログラムに参加することに。「オリンピックを狙ってほしい逸材」と期待されている。

初の公式戦で優勝 宿る可能性に注目

さっ爽と自転車にまたがり愛媛・松山市内のバンクを周回するのは、伊予中学校2年の黒田菫選手。自転車競技について「普通の自転車では出せないスピードで走ることができるのが楽しい」と魅力を語る。

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黒田選手は7月に行われた全国大会「JOCジュニアオリンピックカップ自転車競技大会」に出場。大雨の中での2kmのレースで、大会記録まで約2秒に迫る、2分52秒075で優勝した。

「優勝できてうれしかった」と話すが、それでも目標は2分50秒を切ることを掲げていたという。

実は、黒田選手にとって7月の大会が初めての公式戦。競技用の自転車に乗り始めて、わずか4カ月余りでの快挙だった。

自転車競技を始めたのは「えひめ愛顔のジュニアアスリート発掘事業」で適性を評価されたためだ。2024年3月にスポーツ庁などのプロジェクトの選考会に臨んだ。

このプロジェクトではオリンピック選手も輩出していて、パリオリンピックに出場した松山学院卒業の垣田真穂選手は1期生だ。選考会の場所は日本代表選手が練習拠点としている施設で、「自転車競技はあまり見たことがなくて知らなかった」という黒田選手は大きな刺激を受けた。

伊予中2年・黒田菫選手:
初めて見るトラックで、結構傾斜も角度がすごくて。こんなところで走れるのかなと思いました。

ゼロからの挑戦だったが、選考会をクリアし、2024年度から日本自転車競技連盟の指導を受けるプログラムに参加することになった。黒田選手に宿る計り知れない可能性が連盟の目にとまったという。

「オリンピックを狙ってほしい逸材」

地元ではジュニアクラブに所属し、仲間と一緒に月に2回ほどバンクで練習する。

愛媛県自転車競技連盟ジュニアクラブ・槇野洋介代表:
(自転車競技は)左右対称の運動なんですけど全然ブレない。体幹がしっかりしているから。僕が驚いたのは「もうちょっとサドルを上げた方がいい」とか「ハンドルが近い方がいい」とか、感覚をちゃんと伝えてくれるところ。すばらしいと思いました。

指導しているコーチの槇野洋介さんも、黒田選手の潜在能力と自転車を乗りこなすセンスを絶賛。「オリンピックを狙ってほしい逸材」だと話す。

自転車のトレーニング機器でも、初心者には難しいと言われる重いペダルを踏む動きを難なくこなす。この動作を可能にしているのは、足首のやわらかさで、自転車でのストロングポイントだ。小学生の頃から続けていて全国大会にも出場した水泳で培ったという。

自転車の練習がない日は、基本的に毎日泳いでいる。水泳でも全国中学校体育大会の出場を目指しながら、中学生の間は自転車競技を続け記録を狙う。

伊予中2年・黒田菫選手:
まだ始めて半年もたっていないので、まだうまくないところを直していけば、いいタイムを出せるんじゃないかと思います。

まだ知らない競技への挑戦も!

クラブではまだ経験が浅く自分だけで車体の整備ができないため、コーチや仲間のサポートを得ながら競技生活を続けている。

順風満帆に見えるものの、それでも高校進学後に自転車を続けるのかはまだ決めていないという。アーチェリーやクライミング、ウエイトリフティングなど、ジュニアアスリートとして様々な競技を体験している最中で、まだ知らない競技への興味も尽きない。

伊予中2年・黒田菫選手:
ジュニアアスリートでふだんできない競技もいっぱい経験しているので、できなさそうだからと諦めるのではなくて、挑戦していけたらいいなって。将来的には高評価を得た競技で、楽しいとかずっとやりたいと思うのがあれば、それで国際大会にも出られたらいいな。

まだ知らない自分を探して挑戦を続ける黒田選手。愛媛で見いだされた桁違いの才能はまだ輝きを放ち始めたばかりだ。

(テレビ愛媛)

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