岩手・盛大附属高校の野球部員たちは、2024年の県大会決勝戦での1点差の敗北という悔しさを胸に、今夏の甲子園出場を目指している。春の県大会では8年ぶりに優勝を果たし、7月9日から始まる夏の県大会に向けて勢いに乗る。投打の中心となる選手たちと、甲子園を経験したOBからの熱いメッセージが彼らの背中を押す。
悔しさを糧に、再び甲子園へ
7月9日に開幕する夏の高校野球岩手県大会。
第1シードの盛大附属は、4年ぶりの夏の頂点を目指す。春夏あわせて甲子園に16回出場している県内屈指の強豪だが、2021年の夏を最後に全国の舞台からは遠ざかっている。

2024年の夏の県大会では決勝まで駒を進めたものの、ライバルの花巻東に1点差で敗れ、夢の舞台へはあと一歩届かなかった。
その決勝戦を1人で投げ抜いた若林真大投手(3年)は今でも悔しさを忘れていない。

盛岡大附 若林真大投手(3年):
自分のせいでチームを負けさせてしまった。その責任感というのを感じている。去年の3年生の夏の姿は自分の頭の中にも鮮明に残っている。
2024年の悔しさを糧に選手たちは強い思いで夏に挑む。
投打の中心を担う逸材たち
投手陣の中心は経験豊富な右腕・若林投手だ。気持ちを全面に出す強気のピッチングが特長である。
また、成長著しい3年生の雨田優海斗投手はキレのあるスライダーを中心に投球を組み立てる。

一方、盛大付属の代名詞である強力打線を引っ張るのは台湾出身の許定捷選手(2年)だ。
春の県大会では15打数8安打、打率5割3分3厘を記録し、東北大会では4番も務めた。
許選手は「(自分の強みは)しっかり1球で決めて、チームがチャンスの時タイムリーが打てる」と話す。許選手は年代別の台湾代表の経験もあり、日本のプロ野球に憧れて単身岩手にやって来たという。

2008年からチームを率いる関口清治監督は、2025年の打線について「粘り強くつなぐバッティングができる」と評価する。
春の県大会決勝ではタイブレークの延長戦で久慈に勝ち越しを許しながらも、粘り強くチャンスを広げ、最後は逆転のサヨナラ勝ちで8年ぶりに春の頂点に立った。

関口監督は「選手たちにとって(春の県大会は)自信になる大会になったと思う。その自信をしっかり持たせたかたちで夏の大会に臨めるかなと思う」と語る。
先輩たちから託された思い
夏に向け順調な仕上がりを見せる盛大付属だが、関口監督はチームの経験値について不安を抱いていた。
「去年初めて丸3年甲子園を逃して、今年の3年生は先輩たちが甲子園でプレーする姿を見ないまま大会を迎える」と話す。

そんな中、選手たちに甲子園をイメージしてもらおうと、OBたちが動いた。甲子園を経験し、現在は大学野球で活躍する12人の卒業生からビデオメッセージが寄せられたのである。

2021年夏の甲子園出場経験者で、現在は神奈川大学4年の田屋瑛人選手からは「今まで支えて下さった方々に感謝して見たことのない最高の景色を見て下さい。甲子園は自分たちの財産になります」という熱い言葉が送られてきた。

先輩からの激励に、坂本椿主将(3年)は「戦っているのは自分たちだけではない。偉大な先輩方も一緒に戦ってくれている」と話し、若林真大投手(3年)は「今年勝つという責任感を思わせていただき、絶対に勝つんだという気持ちが上がりました」と気持ちを奮い立たせた。

2024年の悔しさを最高の結果につなげるべく、先輩たちから託された思いをしっかりと受け止めて、盛大附属は勝負の夏を迎える。
(岩手めんこいテレビ)