卓球女子団体で、初の金メダルをかけ絶対王者・中国と激闘を繰り広げた日本代表チーム。

手に汗を握る展開で、日本中を沸かせた試合となり、4大会連続のメダルとなる銀メダルを獲得した。

激闘から一夜明けて、その3人とフジテレビパリオリンピックスペシャルキャスターの石川佳純さんが対面し、中国との決勝戦の秘話を聞いた。

今回初めて、キャスターの立場としてこの大会を見てきた石川佳純さんは対面を受けて「着実に中国に近づいてきている」「ただ競り合うからこそ感じる中国の強さも改めて感じました」と語った。

4大会連続のメダルとなる銀

中国との決勝戦の翌日、まだ寝不足という早田ひな、平野美宇、張本美和の3選手が、銀メダルを胸にスタジオに現れた。

石川:銀メダル獲得おめでとうございます。一夜経って一言ずつお願いします。

早田:個人戦で腕を痛めてしまって、卓球ができないかと思ったんですけど、2人がいたおかげでやりきったなという気持ちです。

平野:初めてシングルスに出場することができて、負けてしまったんですけど後悔ない試合ができましたし、団体戦では3人で銀メダルを獲得することができてホッとしてる気持ちです。

張本:正直まだあまり実感がないというのが今の心境で、でもすごくこのパリ五輪は楽しかったです。

金メダルへ 中国の壁「あと2本が本当に遠い」

決勝の中国戦、3-0とストレート負けだったが、ダブルスではあと2点で勝利、シングルスでも平野、張本が絶対王者相手に引けを取らないプレーを見せ、あと一歩というところまで追い込んだ。

石川:決勝戦のプレーは戦うごとに内容がすごく濃くて、あとちょっと、あと一歩という試合がたくさん続いていると思いますが、皆さん中国と対戦してみてどう感じましたか?

早田:やっぱり私はダブルスだけだったのでシングルスとは違う感覚にはなるんですけど、フルセットの9-5でリードしてあと2本が本当に遠すぎて、やっぱりこれが中国人選手の圧だったりとか何かを狙ってる感覚が伝わってきたりとか、そこが私たちとの差でもあるのかなと。

 
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「あと2本が本当に遠すぎた」と語る早田
「あと2本が本当に遠すぎた」と語る早田

早田:でも逆に言うと、ここまでプレーすることができたっていうのは、ある程度の実力がついてきているとは思いました。でも最後に負けない強さっていうのか、ここでやられたっていう感じだったので、そこをどう突き詰めて行くかっていうのが改めて課題にはなるんですけど、あの経験ができて良かったなって思える日が来るまで頑張りたいです。

平野:近づいているからこそ、さらにそこでまた勝つという難しさを感じたので、それでも勝てるような実力をつけなければこの大舞台で勝てないですし、逆につければ勝てるかもしれないので、そこを目指して努力していきたいと思います。

「勝つ難しさ」を語った平野
「勝つ難しさ」を語った平野

張本:やっぱり「強かった」なというのはありますし、本当に負けて悔しいって思いが一番です。

「負けて悔しいが一番」と漏らした張本
「負けて悔しいが一番」と漏らした張本

本当に中国選手にあって私にはないものを(中国選手は)たくさん持っていますし、そこをもっともっと自分のものに変えて、相手のいいところ吸収して超えられればいいなと思います。

打倒・中国の秘策?五輪初のペアで挑んだダブルス

初の金メダルをかけて臨んだ決勝戦、第1試合のダブルス。日本はこれまで公式戦で1試合しか組んで来なかった早田・張本ペアをぶつけ挑んだ。

中国をあと一歩まで追い詰めた早田・張本
中国をあと一歩まで追い詰めた早田・張本

石川:五輪では、初めて組んだペアだったと思いますが、それは試合前から決まっていたんでしょうか?それともいきなり決まったんでしょうか?

早田:私と平野選手(のペアと)、私と張本選手(のペア)も常にどっちに変わっても出られるような感じには仕上げていたので、たまたまあの舞台で最後の1試合がそうなったっていうだけで、常にどっちとも準備はしていました。まさかあの舞台でやるとは思わなかったですけど。

石川:本当にあと一歩でしたが、あの試合を振り返って張本さんはいかがですか?

張本:早田選手のおかげで思ったよりもいいプレーができて、動きもすごくよかったので負けてしまって悔しいんですけど、やれることはやったかなっていう感じです。

初めての大舞台・最年少を救った先輩の言葉

今大会、鮮烈な五輪デビューを飾った張本美和だったが準決勝のドイツ戦、世界ランク100位の相手にまさかのストレート負けを喫し、五輪の洗礼を浴びた。

このとき立ち直れないくらい落ち込んだという張本を救ったのが先輩の言葉だった。

ストレート負けの後で勝利した張本
ストレート負けの後で勝利した張本

張本:「思い切って」っていう言葉をかけてもらって、本当にこの一言で次の試合は戦うことができて、その一言をかけてくださる前まで「もう無理なんじゃないか」って思っていて、本当に先輩方のおかげで戦うことができました。

4年後ロス五輪で悲願の金メダルへ

石川:本当に素晴らしいプレーで、これから4年後に繋がる試合だったと思うんですけど4年後のロス五輪に向けて、それぞれ意気込みをお願いします。

早田:私は今回腕を負傷してしまって、今回のこの状況ではやり切った感じはあるんですけど、やっぱり不完全燃焼に終わってしまった感じがあります。つぎで金メダルを目指すために、この(東京からの)3年間じゃこの結果になってしまう、そういう結果になってしまったんだなって思ったので、またさらに自分自身を見つめ直して、突き詰めていけるように頑張りたいです。

平野:今回みたいに私たちの世代が年上になることが増えてくると思うので、もっと日本全体がレベルアップできるように後輩の選手にも経験を伝えていけるような人間になりたいなと思います。

張本:次のロサンゼル五輪も目指したいと思っていて、次の五輪ではシングルスにも出場したいなと思っているので1日1日を大切にして頑張っていきたいです。

ロス五輪ではどんな張本が見られるか
ロス五輪ではどんな張本が見られるか

今大会、卓球は2種目でメダルを獲得した日本。今回初めてキャスターの立場として見てきた石川佳純さんはこうまとめた。

「中国は高い壁ではありますが、日本チームは着実に中国に近づいてきていると感じました。ただ前よりも競り合いが続いて来るからこそ1本、2本の中で感じる中国の強さもあらためて感じました」

そして今後の日本代表チームの成長については

「同世代のライバルが多い日本は、誰か1人が中国選手に勝てば自分も中国に勝つんだという、切磋琢磨できていることがレベルアップにつながっていると思います」

16歳・張本美和の今後についても聞かれると

「本当に初めての五輪とは思えない堂々としたプレーで、4年後もさらに楽しみになるそんな選手だと思います」と一層の成長に期待を込めた。

4年後もさらなる活躍が期待される卓球・日本代表チーム。今後も注目していきたい。

『すぽると!』8月17日(土)24時35分 8月18日(日)23時15分フジテレビ系列で放送中