共働きやひとり親の家庭では夏休み中、子どもだけで過ごす時間が長くなり不安に感じる親も多い。そうした中「子ども食堂」が子育て中の家庭をサポートする活動が進んでいる。物価高騰が続く中で新たな役割も生まれている。
笑顔あふれる「夜の居場所」
夕暮れ時、長崎市戸町地区のふれあいセンターに元気な子どもたちがやってきた。この日は地元の小学2年生~6年生あわせて9人が集まった。「とまち子ども食堂」が月に1回開いている「夜の居場所」だ。
この記事の画像(8枚)大人が見守る中、子どもたちは宿題をしたり、友達とゲームをしたりと思い思いの時間を過ごす。とまち子ども食堂の代表、井口元孝さんは「ひとり親家庭や共稼ぎの家庭では夜に子どもだけで食事をするという家庭があるので、そういう家庭の子どもに来てもらって、みんなと楽しい食事をしてもらいたい」と話す。
夕食をみんなで食べると子どもたちは「楽しい」と話し、自然と笑顔がこぼれる。「ひとりの時よりみんなで一緒に食べる方がおいしく感じる」と6年生の子どもは笑顔で話す。
広がる子ども食堂の輪
共働きやひとり親家庭の割合は全国的に増えていて、県内も例外ではない。そんな中、長崎市内には現在25カ所の子ども食堂がある。
運営のペースは週1回~季節に1回などそれぞれだ。子どもに限らず地域に住む人の「居場所作り」にも貢献している。
長崎市子ども食堂ネットワーク代表の島田美穂里さんは「みなさんを応援する気持ちで子ども食堂を開催している。行ける時に行ける場所に行ってほしい」と話す。
子ども食堂は単なる食事の提供にとどまらず、地域コミュニティの核としての役割も果たしているのだ。
物価高騰の中で果たす役割
この夏、市民の生活に影響しているのが「物価の上昇」だ。
6月の消費者物価指数を見ても総合で108.2と、前年同月比で2.8%上昇。主婦からは「数年前に比べて1回当たりのスーパーでの買い物の金額が1000円~2000円上がったと感じる」「買い物に行くとき1週間ごとに高くなっていると感じる」という声も聞かれる。食費や光熱費などが日頃より多くかかる夏休みの悩みはつきない。
そんな中、子ども食堂は地域の「居場所作り」と同時に、生活に困っている人に手を差し伸べる「支援」の役割も担っている。とまち子ども食堂では、米やお菓子などをおみやげとして渡しているのだ。
「夏休みに入ると給食がなくなるので家庭で活用してもらえればと思って始めた。喜んでもらえている」と井口代表は語る。
とまち子ども食堂では夏休みの期間中、毎週1回、自習室を開いて宿題の手伝いや食事の提供することにしている。
子どもたちの学習支援と食事支援を同時に行うことで、夏休み中の子育て家庭の負担軽減にも一役買っている。とまち子ども食堂の「夜の居場所」は毎月第2木曜日で、次回は8月8日に開催予定。子ども食堂は、子どもたちの笑顔を守り、地域のつながりを深める重要な存在となっている。
(テレビ長崎)