国内サッカーのJリーグは、J1が8月7日(水)から、J2が8月3日(土)からそれぞれ再開する。その中で例年、優勝争いはもちろんのこと、むしろそれ以上に激しい戦いが繰り広げられるのが、J2からJ1への“昇格争い”だ。
ここに2008年のJ2降格以降、15シーズンに渡ってJ1への復帰を果たせていないクラブがある。Jリーグ創設前の日本リーグ時代から「名門」と呼ばれたジェフユナイテッド市原・千葉だ。
Jリーグ創成期に加盟した10クラブ。通称”オリジナル10”の中で、J2に降格した経験がないのは、鹿島アントラーズ、横浜マリノス、横浜フリューゲルス(1999年に消滅)のみで、他の7クラブはいずれもその苦難を味わって来た。
だがその中で、J2転落後一度もJ1に復帰したことがないのがジェフ千葉だ。
今シーズン、第24節を終えてJ2順位は7位(勝ち点36)で、リーグ中断期間へと突入した。果たして悲願のJ1復帰は果たせるのか?終盤戦の注目となっている名門クラブにフォーカスする。
ジェフ千葉 ・J1昇格への条件
ジェフがJ1へ昇格するための条件は2つ。
J2で上位2チームまでに入り自動昇格するか、3位~6位までに入って昇格プレーオフ2試合を勝ち抜くか。
現在7位のジェフからJ1自動昇格ラインの2位までの勝ち点の差は15。J1昇格プレーオフの進出ラインである6位との勝ち点差はわずか2。残された試合数は14試合という状況だ。

それだけに、8月こそがジェフとって極めて重要な1カ月となる。3日から再開するリーグ戦では、現在3位の横浜FCといきなり対戦。その後も4位の岡山、8位のいわきFC、6位の仙台と順位の近いライバルチームとの戦いが続くからだ。
命運を託されたエース ジェフのヒーロー
そのジェフで注目なのがセンターフォワードの小森飛絢(こもりひいろ・23)だ。

右足・左足・頭とどこからでも得点を奪うことのできる万能型ストライカーで、昨シーズンはプロ1年目で開幕からスタメンを勝ち取ると、そこから3試合連続ゴール。
ルーキーながらリーグ戦13ゴール(日本人1位タイ)を記録し、昇格プレーオフ進出へ大きく貢献した。
さらにリーグの年間ベストイレブンにも選出され、個人としては輝かしいシーズンとなった。ただ、本人はこの結果に満足していなかった。
小森:
J1昇格っていう目標を掲げてやっていた中で、それを達成できなかったことがすごく悔しいです。期待していてくれたファンサポーターの皆さんには、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。
迎えた今シーズン、自らの希望で背番号41からエースナンバーの10を背負う小森。
ここまでリーグ戦全試合に出場し、得点ランキング3位の10ゴール(7/14 第24節終了時点)をあげている。

小森:
複数得点できるチャンスは何試合もありましたし、もっと点を取れたと感じています。目標としている数字は25なので、そこを取れれば“得点王”も見えてくるし、その数字に近づいていけば自然とチームの勝利にもつながると思っています。
今季はリーグ第2節の藤枝戦から4試合連続ゴールを記録した小森。複数得点こそないが、ゴールを挙げた10試合のうち6試合で勝利を手繰り寄せており、第20節の徳島戦でも決勝ゴールを決めた。自身の成長をどこに感じているのか。

小森:
自分がゴールを取ってチームを勝たせなくてはいけない、という責任感は1年目から変わった所です。プレーに関しては、そこまでスタイル的に変わっているものはないですが、クオリティはこだわってやっています。
今年から、調子の悪いときはゲンを担いで足の爪を切るという小森。
願いが込められたその足で、エース小森はチームを勝利に、そして悲願のJ1復帰に導くことができるのだろうか。
奮闘を続けるエースに指揮官・小林慶行監督も大きな期待を寄せている。

小林監督:
彼らはとんでもないプレッシャーの中で戦っていて、ゴールを取らなければもちろん批判される。ゴールを取る気持ちってすごく大事だし、絶対に失ってほしくないんですけど、一番大事なのは勝利すること。そこはぶれてほしくない部分だと思っています。
チームの目指す戦いをする中で、ハングリーさも含めてすごく信頼してますし、重要な選手であり続けてほしいと思います。
攻撃に厚みを加える新戦力の台頭
その小森とともに攻撃に厚みを与えているのが、今シーズン加入した岡庭愁人(おかにわしゅうと・24)だ。

これまで所属していたFC東京や大宮アルディージャではサイドバックとしての出場が多かったが、ジェフに移籍後、正確なクロスやパスなどを評価され1列前のサイドハーフにコンバート。
ここまでリーグ戦19試合に出場し3ゴール2アシストを記録している。

岡庭:
キャンプからサイドバックで右も左もやってきたんですけど、監督のチョイスでサイドハーフをやってみて、期待に応えられるようなプレーができ始めてからハーフの起用がメインになりました。自分もポジティブにチャレンジし続けられてますし、それが結果として出てきています。
慶行さんのサッカーは、選手が最後決める・決断するというのを尊重してくれるので、本当に今が一番楽しいなと思っています。
就任2年目の小林慶行監督は、昨年から一貫して攻撃的なスタイルを貫いてきた。
その継続が身を結び、今シーズンここまで『シュート総数』376。『1試合平均シュート数』15.7。『1試合平均枠内シュート数』5.1と多くの攻撃面でリーグ1位を記録している。
小林監督:
リーグの攻撃的なスタッツで、本当に1位2位の数字が並ぶってそんな簡単なことじゃないので。やっぱり自分たちが目指している姿勢が、数字につながっているというのはすごく重要なことだと思います。
その一方で、前半戦全19試合中、1点差で負けた試合は5、引き分けは3試合あったのも事実だ。
小林監督:
チームとして数多くの失敗をして大きな代償を払いました。自分たちが望む順位でも、勝ち点でもないというところは明確で、だからこそ粘り強く勝ち点を積み上げていかないといけないと前半戦の最後に選手と改めて確認しあいました。
とはいえチームは現状7位とプレーオフはもちろん、まだ自動昇格も目指せる状況だ。
小林監督:
おそらくどのゲームも拮抗してくるので、そのようなゲームをしっかりと勝っていけるような集団になっていく。僕らはピッチ上でしか自分たちの価値を証明できないので、しっかりと結果でファンやサポーターの皆さんの期待に応えていきたいと思っています。
小林監督はリーグ再開後の試合への決意を力強く語った。
15シーズンぶりのJ1返り咲きへ残り14試合。ジェフの真価が問われる。昨シーズンまでの悔しさを糧に今度こそ・・・ 名門復活への戦いがリスタートする。
『すぽると!』
8月4日(土)24時35分
8月5日(日)23時15分
フジテレビ系列で放送中