トラブルが続く熊本市電の運行について、第三者による検証委員会が大西熊本市長に中間報告書を提出した。委員会が行った聞き取りによって、運転士の心理状態なども明らかになった。

2024年7月までに計10件のトラブル

熊本市電は2024年に入り、ドアを開けたままの走行や信号無視、車両の連結が外れた状態での走行など、5月までに6件のトラブルが発生。

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熊本市交通局は2024年5月に学識経験者など第三者による検証委員会を設置したが、その後もトラブルは相次ぎ、7月26日の脱線事故まで計10件が明らかになっている。

トラブル当事者5人の運転士に聞き取り

7月31日に検証委員会の吉田会長が大西熊本市長に中間報告書を手渡した。検証委員会は6月にトラブルの当事者となった運転士5人にヒアリングを実施していて、中間報告書では「トラブル発生の前後にとるべき具体的な行動が詳細に規定されていなかった」や「電車の遅延について潜在的なプレッシャーがあった」などと課題を挙げた。

検証委員会の吉田会長(熊大名誉教授・社会心理学)は「5人の話に限定されますが、(安全のため)遅れるのは構わないと思っているけれど、次(運転士)にバトンタッチするときに遅れてしまうと申し訳ないという対人的な関係。これからはそういうヒューマンな部分を考えていくことが大事だと思っています」と、トラブルの要因を分析する。

今回の報告書では、短期的な対策として『監督職による車両内での添乗指導の強化』や『ドアの開放を音で知らせる新たな装置の検討』『車両の連結口と連結棒を同じ色にする』などハード面の対策を中心に示した。

検証委員会は、新たに起きたトラブルについても聞き取りを行い、2024年12月をめどに最終報告をまとめる。

大西熊本市長「大変反省すべき」

中間報告を受け取った大西熊本市長は「経営面に、より意識が傾いていたのではないかと大きく反省すべきと思っている。私自身がトップとして、きちんと責任感をもってこれからも取り組んでいくという、決意を示す必要があると思っている」と話した。

1924年(大正13)8月1日に開業した熊本市電は100周年を迎え、熊本市は8月1日に記念式典を予定通り実施し、「安全を誓う日にしたい」としている。

(テレビ熊本)

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