小学生最後の全国大会で優勝。背泳ぎで愛媛県の記録を次々と塗り替えた逸材が、中学に入りさらに成長している。「世界記録の達成」という大きな夢に向かって、まずは目の前の上級生との勝負に勝ち、全国大会への切符を狙う。
小学生最後の全国大会で見事優勝
水泳の中で唯一、あお向けのまま泳ぎその速さを競う背泳ぎ。この背泳ぎで急成長を続ける注目のスイマーが四国中央市にいる。
この記事の画像(9枚)2024年から三島東中学校へ入学した森下泰明選手だ。水泳の練習は地元のスポーツクラブに通っている。
森下選手は2024年3月、小学生の最後に全国大会へ出場し、100メートル背泳ぎで、自らが持つ県記録を1秒以上更新して優勝。ほかにも50メートル背泳ぎと200メートル個人メドレーでも県記録を更新し、3位に入る活躍を見せた。
森下選手は「自分の記録があって、そこを練習や日々の生活とかでどうしたら切れるかとか、そういう考え方が楽しいとこですね。自分の目標タイムにあと一歩届かなかったんですけど、1位だったのでよかったです」と振り返った。
“二人三脚”キックをいかして速く
大躍進のきっかけは、かつて日本代表のコーチも務めたエリエールスポーツクラブ・河端篤志コーチとの出会いだった。
「もともと小さい頃から脚の柔らかさであったり、非常にいいものを持ってるなと感じていた。ちょっとこれはもったいないということで、小学4年生の9月に私のクラスに無理にあげた」と河端コーチは語る。
河端コーチが着目したのは森下選手の“キック力”だった。
河端コーチによると、森下選手は脚関節がやわらかく、背泳ぎに関して言えばスタート・ターン後のバサロキックが非常に効く。また、泳ぎの中では一般的な選手よりも薄く蹴れる。つまり、抵抗が少ない位置で蹴れるところが持ち味だ。
この天性のキックをいかしながら速く泳ぐフォームを二人三脚で追求してきた。
背筋と肩甲骨を閉めるイメージで行うトレーニングは、ストロークに必要な動きにつながる。厳しいトレーニングも最後までやり切る森下選手の姿勢が急成長につながったと、コーチも目を細めた。
「誰にも抜かれないような記録を」
水泳を本格的に始めた当初の目標は全国大会出場だったが、わずか2年で日本一に。全国の強豪選手と戦う中で見える景色も大きく変わった。
森下選手は「やっぱり日本一というところを続けていかなければならない」と話す。「自分の精神力であったり、ご飯の量とか生活面から正すことがいっぱいある。そこを正して練習することが必要だ」とコメントした。
まだ中学生になったばかりの森下選手に宿る精神は「己に負けず水を制する」。
これからは全国の切符をかけて上級生と競うことになる。
森下選手は、全国で日本新記録を出している上の年代の選手と、肩を並べて戦えるよう頑張りたいと意気込んだ。そして、「最後は世界記録を作って、誰にも抜かれないような記録を作りたい」と目を輝かせた。
大きな夢を胸に抱き、さらなる成長を誓う森下選手。若きスイマーの挑戦はまだ始まったばかりだ。
(テレビ愛媛)