7月10日、山形県環境影響評価審査会が開かれ、米沢市の栗子山で進む風力発電事業の環境影響評価準備書(準備書)について審査した。出席した委員からは、住民の意見を丁寧に聞いてほしいという意見が出た。
“ごく近い場所”にイヌワシの巣
米沢市の栗子山で進む風力発電事業は、JR東日本エネルギー開発が計画しているもの。

約260ヘクタールの事業地に高さ168メートル・4300kWの風力発電機を最大10基設置し、風力発電所全体で3万4000kWを発電する計画だ。

日本イヌワシ研究会による調査では、計画地とイヌワシの巣との距離は平均で約3km、最も近い場所で2.1kmというごく近い場所であることがわかっている。
希少な生物保全対策を行うことが基本
10日は計画をめぐり、2023年8月に県へ送付された準備書についての審査会が開かれた。

事業者に対し、出席した委員からは「住民と合意形成ができておらず、住民の意見を丁寧に聞いてほしい。そうでないと計画の推進は難しい」という意見が出た。

これに対し事業者側は「この夏、近隣の住民向けに説明会を予定している」と説明し、住民に事業への理解を求めていく考えを示した。
傍聴していた住民からは「みんなが考えている心配がどうなのか、きょうの審査会の中でクリアになっていない。心配は心配でまだ残っている」といった声が聞かれた。

県環境影響評価審査会・横山潤会長は、「希少な生物が多い地域でもあるので、それに対する『保全対策をしっかりやってください』というのが基本。特に住民が心配されている『災害などにつながらないような開発行為を行ってください』と報告書に意見すると思う」と語った。

準備書については、8月下旬に県知事が意見することになっていて、その後、事業者が「環境影響評価書」を作成することになっている。
(さくらんぼテレビ)