国内有数の観光名所・裏磐梯のある福島・北塩原村で、2024年度に子どもが一人も生まれない「出生数がゼロ」になる可能性があることが分かった。
村長「現時点で母子健康手帳の発行がない」
福島・北塩原村の遠藤和夫村長は、「現時点で母子健康手帳の発行がないという状況ですから、今年度の出生数が大変厳しい」と険しい表情を見せる。

村は、妊娠届を受けて母子健康手帳を交付するが、2024年度はまだ1件も交付されておらず、このまま移住などによる転入者がない場合は、初めて「出生数がゼロ」になる可能性がある。

この村で、2023年8月に出産した関口楓さん(30)は、「少なくなっているっていうのは、知っていたんですけど、ゼロっていうのはびっくりしました。寂しい気持ちはあります」と話す。

福島県の北西部に位置し、国内外から多くの観光客が訪れる北塩原村には、春には桜が美しい「裏磐梯」や、夏の新緑と秋の紅葉、どちらの絶景も楽しめる「中津川渓谷」がある。
ミシュラングリーンガイド1つ星に認定された「五色沼」や、さらに裏磐梯、最大の湖「桧原湖」での遊覧船観光も人気で、そして夜は、満天の星空が迎えてくれる。

2024年6月1日現在、人口2391人の「北塩原村」は、出生者数は年々減り続け、2023年度は6人で、4月に発表された「将来的に消滅する可能性のある自治体」にも名前が挙げられている。

村は、福島県のオンライン結婚マッチングシステムの登録料1万円を全額補助し、結婚した夫婦には、祝い金最大60万円を贈呈するなど、対策を強化した。
また、子育て支援として、3歳未満の子供を保育園に預けず、家庭で保育を行う場合は、月1万5000円を支給する。さらに、子どもが4歳から15歳までは、毎年1人当たり5万円が支給される。
「病院が近くにないのが一番心配」
関口楓さんの家庭は、村が用意した、若者の定住者向け新築一軒家を格安で借りているが、子育てで不安な点もあるという。

関口楓さん(30):
何か子供に病気があったりとか、そういう時に病院が近くにないのが一番心配ですね。薬も買いに行くのがちょっと遠かったりとか。
村長は、さらなる対策の必要性を強調している。

福島・北塩原村の遠藤和夫村長:
建物がある、住む場所があると言っても環境がどうなのかということも大事なので、そういった住環境も充実を図っていきたい。
あの手この手で対策をうつ北塩原村は、人口減少を食い止められるのかーー。
(「イット!」 6月4日放送より)