長崎県諫早市に「国際交流ができる家」が誕生した。言葉も育った環境も異なる人たちが集まり一緒に生活をしながら、互いの国や文化を学び合っている。日本の暮らしや文化に触れたい外国人と、交流をしたい日本の子供たちをつなぐ拠点になっている。

多国籍な人が集まる家

ひとつ屋根の下。長崎の子供たちと、ドイツ、ポーランド、インド出身の外国人が遊んでいる。

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諫早市に2023年12月に誕生した「からりん ハウス」だ。

英語で「塗り絵」を意味するcoloringには、ここを訪れる様々な文化を持った人たちが家を彩ってくれますように、との思いが込められている。海外からの3人は2024年4月から約3週間、この家で共同生活を送った。

ポーランド出身 モニカ・マトラクさん:
長崎に来たのは初めて。何かボランティアをして訪れた場所の文化を学びたいなと

ドイツ出身 ミリアム・ゴーツェンさん:
仕事をここで見つけたのと、私は日本の色々な所を見たいから日本中旅をしたくて

滞在するための費用はかからない。その代わりに子供たちと一緒に遊んだり、畑作業など家の手伝いをすることになっている。受け入れる「ホスト」の井口安希乃さんも、学生の時に同じような形でニュージーランドで2カ月過ごした経験がある。

井口安希乃さん:
諌早市の空き家バンクに出ていた空き家をお借りしていて、もともと私たち家族が住まいとしてここに住んでいた。この家自体は環境とか気に入っていたので何かに活用したかった

広島県出身の井口さんは5年ほど前に、夫の実家がある諫早市に移住してきた。

以前、岡山県で地域おこし協力隊として古民家の活用や英会話を教えていたことから、その経験を生かして「からりん  ハウス」をつくった。

子供と外国人の縮まる距離

家の裏には畑があり、この日は外国人と子供たちは一緒に野菜の収穫体験をした。モニカさんは子供の収穫の様子を見てコミュニケーションを取ろうとする。

ポーランド出身 モニカ・マトラクさん:
No No,It's not ready.Here you go.And we are playing cards.(まだそれは収穫には早いよ、これをどうぞ。あとカードで遊ぼう)

滞在する外国人は子供に何かを教えた経験がある人ばかりではない。英語を使って少しずつ子供たちと距離を縮めていく。

ポーランド出身 モニカ・マトラクさん:
What sound does bee make?(ハチはどんな音を立てる?)(子供がハチの音を口で鳴らすと)Good!

交流拠点の運営は、子供たちの参加費でまかなわれている。

多国籍な料理が味わえるのも醍醐味

親子を対象にした週末のデイキャンプでは、食を通して世界の文化を学ぶ。この日のメインはインド料理。

カレーは辛いスパイスは使わずに、ココナッツミルクを入れて野菜の甘さを生かしている。

一緒に料理をした子供の母親:
Nice,I like it.It's not spicy for kids.(いいね、私これ好き そんなに辛くないから子供も食べられるね)

同じ体験をすることから子供たちも進んでコミュニケーションをとるようになる。料理に使うライスペーパーを見た子供から外国人へ英語で質問が。

子供「What is made of this?(これは何でできているの)」
モニカさん「Rice(お米だよ)」

参加した子供の母親:
座って、だと「お勉強」という感じになってしまうので身近な存在になってほしい。強制するのではなく、自分からコミュニケーションを取りたいような環境に子供がいられたらと

自発的な「話したい」を育てる

体験を通した学びは、親にとってもいい刺激になっているようだ。

家族で参加した父親は
家族で参加した父親は

諫早市から参加した家族:
何年ぶりだろう、英会話体験。自分が子供のころに(こういう場が)ほしかった。勉強だけ、イングリッシュオンリーじゃなくて、多国籍の人がいるから

SNSに投稿された様子を見て、訪れた親子もいた。

小学2年生の女の子:
楽しかった。また行きたい

諫早から参加した母親:
(私自身)英語自体は苦手で嫌いな教科だったが、いざ社会に出てみると英語に触れたいって気持ちが沸くが、基礎的な部分が学べていないので、自分の子供には(英語に)興味を持って「話したい」って意欲を育ててもらいたい。とても楽しそうなのが見て分かったので、また来ます

ドイツ出身 ミリアム・ゴーツェンさん:
日本の文化に触れられるし、特に外国人にとっては地域の人と話すことで日本語の練習にもなる。とてもいい取り組みだと思う

今後は、フランスやイギリスなどからのメンバーが加わる一方、長崎を離れる人もいるが、「からりん」には変わらず笑い声が響く。

井口安希乃さん:
特別なことじゃなくて、おにぎり握るだけで、三角ができたときに「Wow」と驚かれたりする。日常の日本の文化も色々な人に来てもらって、ここに来る、滞在する海外の方に(日本の暮らしを)伝えてもらえたらいいな

体験を希望する人は「からりん ハウス」の公式のホームページやSNSでの予約を受け付けができる。

多国籍な人たちが交流できる家「からりん ハウス」には、日常の小さな驚きや感動で彩り豊かな空間が生まれている。

(テレビ長崎)

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