多くの人が悩まされている春の花粉症。実は人だけでなく、犬や猫も発症することをご存じだろうか?
動物病院の運営などを行っている株式会社TYLの調査で、犬や猫の飼い主の約半数がペットにも花粉症があることを知らないことがわかった。
約半数「ペットが花粉症になることを知らない」
犬や猫の飼い主428人を対象に行った調査で、「ペット(動物)も花粉症になることを知っていますか?」と聞いたところ、「はい」と答えた飼い主は53.7%で「いいえ」が46.3%。約半数の飼い主が、犬や猫にも花粉症があることを知らないという実態が明らかになったのだ。
この記事の画像(6枚)また「飼っている犬または猫は、今年花粉症(アレルギー)の症状が出ましたか?」の質問では、「はい」は25.2%、「いいえ」が59.8%、「わからない」が15.0%だった。
この結果についてTYLは「飼い主の約半数が犬猫の花粉症を知らないということから、飼い主が知らない、または気が付いていないケースも少なくないと考えられます」としている。
大事なペットの犬や猫の花粉症に気が付くためにはどうすればいいのか?また、ペットの犬や猫が花粉症かなと感じたとき、どのような対策をすればいいのか?
株式会社TYLの取締役で獣医師の藤野洋さんに聞いた。
原因となる花粉はスギなど人と同じもの
――「ペットの花粉症」に注目し、調査を行った理由は?
ペットが健康に暮らせる環境をつくり、ペットと飼い主ともに「幸せな生活」を送れるようにという思いのもと、アレルギーに関する正しい知識を知ってもらうために、その実態を調査しました。
――花粉症になるペットは犬と猫だけ?
犬や猫だけでなく、他のペットも花粉のアレルギーになる可能性はあります。例えば、うさぎやフェレットは春先の結膜炎など花粉アレルギーに関連した症状を発症する場合があります。
ただ、なかなか花粉が原因物質になっているという確定した診断はしづらいので、あくまで可能性と言うことになります。
――ペットの花粉症の原因も、人と同じスギやブタクサの花粉?
花粉はスギやブタクサなど、人と同じものです。また、犬や猫は地面との距離が近く、様々な草花と接触するため、スギやブタクサ以外の草花や花粉のアレルギーも多く見られます。
――犬や猫の花粉症が特に多い時期は?
春以外にも、秋は比較的、アレルギー症状の患者が多いです。ただ、アレルギー体質の犬や猫は1つの原因で、アレルギー症状が発症しているわけではないので、はっきりしたことが言えないです。
――犬や猫の花粉症も、人と同様に“症状が出ないケース”がある?
人と同様に症状が出ない犬や猫もいます。アレルギーの症状は、一定のアレルゲンとの接触が閾値(ある反応を起こさせる、最低の刺激量)を超えると発症すると言われていますので、メカニズムは人と同様です。
犬や猫が花粉症かなと感じたときの対策
――ペットの犬や猫の花粉症に気が付くためにはどうすればいい?
花粉のアレルギー症状は、花粉と接触した後に強く現れます。
そのため、例えば、お散歩に行った後、しばらくして、目をかゆがったり、足の間をなめたりする症状がある場合は、花粉や草花のアレルギーが考えられます。
症状としては、結膜炎や下腹部のかゆみ、足の間のかゆみなど、比較的、皮膚が弱いところ、もしくは、けがの少ないところに症状が出やすいのが、花粉など接触によるアレルギー物質による場合の特徴です。
――ペットの犬や猫が花粉症かどうかを確かめたい場合、どうすればいい?
主な検査方法は、アレルゲンを特定する血液検査になります。一定量の採血を行い、検査センターにて分析を行います。
いくつかの動物専用の検査センターがあり、それぞれ項目は異なるため、検査の際には飼い主様との相談が必要になります。
その他の検査方法としては、皮膚に直接、アレルギーの原因になる物質を一定時間、接触させて、反応があるかをみる方法もあります。
――ペットの犬や猫が花粉症かなと感じたとき、どのような対策をすればいい?
花粉症の症状が強くあらわれるのは、散歩や外でアレルゲンになる花粉や草花に接触した後になります。
これは、外でアレルゲンを体に付着させているためです。そのため、以下の対策があります。
・外出するときは、体にアレルゲンが付着しないようにペット用の靴や洋服を着せる
・散歩から帰ってきた後は、身体を丁寧に拭いてあげ、付着したアレルゲンを落とす
・そもそも、花粉のアレルギーが考えられる場合は、散歩を控えることや草花の多いところにはいかない
人と同様にスギやブタクサが原因で発症する犬や猫の花粉症。飼っている犬や猫が花粉症かなと感じたときには、「外出時にペット用の靴や洋服を着せる」「草花の多いところにはいかない」といった対策を試してみてほしい。