岸田首相は9日、日本の首相として、9年ぶりとなった「国賓待遇」でアメリカを訪問した。
日米首脳会談は、日本時間の11日午前0時頃から行われる。
また、アメリカなどの3カ国によって編成された安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」も注目されている。

シーフード店でプライベートな夕食

満面の笑顔を見せる日米トップの2人。
首脳会談の約6時間前に、親密ぶりを積極的にアピールした。

この記事の画像(12枚)

肩を寄せ合い、共に口角を上げて白い歯を見せる岸田首相とバイデン大統領。

この写真は、首脳会談が行われる前日、非公式の夕食会に向かう際の大統領専用車内で撮られたものだ。

両首脳が夫人たちと向かったのは、ホワイトハウスから約5km離れた新鮮なシーフード料理が評判の店。
来店客は「(彼らは)プライベートな夕食だったよ。とてもリラックスしていたね」と話す。

魚介料理に舌鼓を打ちながら、2時間にわたり会話に花を咲かせたという。

バイデン大統領は「とてもよかったよ。カニの名物料理を食べたよ」とコメント。

これに先立ち、ホワイトハウスで対面を果たした日米両首脳夫妻。

バイデン大統領からは、アメリカを代表する歌手・ビリー・ジョエルさん(74)のサイン入りLPレコードなどが贈られ、岸田首相からは、被災地・石川県の輪島塗コーヒーカップセットや、任天堂のマリオグッズなどがバイデン大統領夫妻に手渡されたという。

日本の首相として9年ぶりとなった「国賓待遇」でのアメリカ訪問。
首脳会談や晩餐(ばんさん)会など公式行事の中身が明らかになってきた。

国内での問題が山積する中、アメリカを訪問している岸田首相。
アメリカ・メリーランド州で日本時間9日午前7時ごろ、今回は、通常訪米する時とは違い、空港に到着した時に儀仗(ぎじょう)隊や音楽隊が待ち構えていた。

その訳は、日本の首相として9年ぶりとなる「国賓待遇」、つまり最大級の格式での訪問のためだ。

前回の「国賓待遇」は2015年、当時のオバマ元大統領が安倍元首相を招いた時だ。
その晩餐会では、安倍元首相の地元・山口県の日本酒が振る舞われた。

さらにオバマ元大統領は、安倍元首相のために俳句まで披露した。

オバマ元大統領は「春みどり 日米きずな 和やかに」という句を詠み、日米の緊密さをアピールした。

── 今回は、どのような内容になるのだろうか?

ホワイトハウスで日本時間午前6時ごろ、ジル大統領夫人自らが報道陣に「招待されたゲストたちは日米両国の花や、ガラスやシルクでできたチョウが飾られたテーブルに座っていただきます」と説明した。

「春の庭園」をイメージした会場。
食事も日米の融合をテーマに、コースが振る舞われる。

前菜は、燻製(くんせい)サーモンの野菜添え。
これは、アメリカで進化を遂げた寿司「カリフォルニアロール」をモチーフにしているという。

そして目にも鮮やかなのが、デザート。
抹茶のガナッシュには、ピンクの花びらが添えられている。

シェフは、「ワシントンの入り江に咲く桜を、モチーフに取り入れてみました」と話している。

そして、アメリカのベテラン歌手・ポール・サイモンさん(82)が演奏を披露。
日本からは世界的知名度を誇る音楽ユニット「YOASOBI」の出席が予定されている。

趣向を凝らした“おもてなし”を通じて、日米の関係はより深まるのだろうか。

日米首脳会談は、日本時間の11日午前0時頃から行われる。

中国の脅威感じるAUKUS 日本と協力か

日米の首脳会談の中でも注目されているのが「AUKUS」だ。
AUKUSは、オーストラリア・イギリス・アメリカの3カ国によって2021年に創設された安全保障の枠組み。

── なぜ、日本がそこに関係してくるのだろうか?

アメリカは、インド太平洋のエリアでの中国の脅威に危機感を感じており、安全保障の新たな枠組みが必要になってきている。
そこで、日本への協力を求めているという。

南シナ海では3月5日、中国海警局の船がフィリピンの船に放水したほか、双方の船が衝突するなどした。
また台湾周辺では中国が軍事演習を行うなど、中国の脅威ともとれる動きが相次いでいるという。

このAUKUSは、第1の柱としてオーストラリアへの原子力潜水艦の配備。
そして第2の柱として、AI(人工知能)などの先端技術を共同開発するという、2つの柱で構成されている。

そして、この2つ目の柱について、AUKUSの3カ国が共同声明で、日本に対して「日本の強みと緊密な防衛パートナーシップを認識し、先端の技術分野で日本との協力を検討している」と明らかにしている。

今回の日米首脳会談で、こういったことも話し合われるのか注目される。

アメリカが日本と協力したいという狙いだが、そもそもアメリカと日本は、確固たる軍事同盟で結ばれている国だ。

さらに日本は、防衛の面で、オーストラリアともイギリスともそもそも連携しており、パートナーシップ関係にある。
そのため、その3つの国が入っているAUKUSと連携するのは、自然な展開かもしれない。

1つ目の柱は、オーストラリアへの原子力潜水艦の配備。
これはアメリカが原子力潜水艦を提供する前に、フランスとの契約があった。

オーストラリアは、フランスとの契約を破棄してしまったせいで契約違約金も払わなくてはいけなくなったが、実は、その前には日本が通常の潜水艦を提供することになっていた。
それぐらい日本は、オーストラリアとの防衛連携が強い。

この先は技術だけでなく、情報通信、さらには指令系統を統一させることによって、有事に備えようという思惑があると考えられる。
(「イット!」 4月10日放送より)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(12枚)