全国で唯一、刑務所の中にある長野県松本市の旭町中学校桐分校。これまで男性受刑者のみを受け入れていたが、2024年度から女性の入学も認められることになり、4月9日入学式が行われた。60代受刑者は「毎日の授業や自主学習に粘り強く取り組み、人として成長していきたい」と誓いの言葉を述べた。

20代~60代の女性受刑者5人が入学

松本少年刑務所の中にある旭町中学校桐分校の入学式。

全国で唯一刑務所の中にある中学校だ。 

今年度、入学するのは20代から60代の女性受刑者5人。初めて女性を受け入れた。

入学式
入学式
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粘り強く取り組み、人として成長を

誓いの言葉・60代受刑者: 
「私たちは中学校を卒業したものの、学ぶ機会が少ないまま今日に至ってしまいました。そのことはいつも負い目となっていましたし、学力不足から社会でつらい思いをしたことも多くあります。毎日の授業や自主学習に粘り強く取り組み、人として成長していきたいと考えています」

誓いの言葉
誓いの言葉

桐分校は家庭の事情などから十分な教育を受けられなかった受刑者の学びの場として1955年、昭和30年に開校。 少年刑務所が男性専用だったため、入学者も男性に限っていた。

しかし、女性受刑者からも学び直しの機会が欲しいとの声があり、男女の接触を避ける対応を取って今年度から受け入れを始めた。 

今年度は希望した全国の女性受刑者16人のうち5人が入学した。

松本少年刑務所
松本少年刑務所

60分授業、1日7時限 1年間学ぶ

女性受刑者が学ぶ教室。ここで60分授業を1日7時限受ける。

授業は通常の中学校で学ぶ国語や数学、英語などで、1年間勉強に励む。 

松本少年刑務所の中道徹所長は、「学び直したいと強い意思を持っていますので、応えられるように教科指導や講義、活動についてもいろいろやっていけたら」と話した。

女性受刑者が学ぶ教室
女性受刑者が学ぶ教室

誓いの言葉(全文)

誓いの言葉・60代受刑者(全文):
「本日私たち5名は歴史と伝統ある松本市立旭町中学校桐分校に入学することができました。これも校長先生、所長、ご来賓の皆様をはじめ多くの方々のおかげと心から感謝申し上げます。私たちは中学校を卒業したものの、学ぶ機会が少ないまま今日に至ってしまいました。そのことはいつも負い目となっていましたし、学力不足から社会でつらい思いをしたことも多くあります。きょうから一年間の中学校生活が始まります。勉強についていけるのか正直、不安もあります。それに私たちは性格も育った環境もそれぞれ違います。しかし、松本市立旭町中学校桐分校で学び直したい、もう一度勉強したいという強い思いは一緒です。きょうから1年間仲良く助けあい、勉強していきます。継続は力なり、毎日の授業や自主学習に粘り強く取り組み、人として成長していきたいと考えています。桐分校での1年間、いろいろな困難にぶつかることもあると思います。しかし、校長先生を始め、諸先生方からいただきました励ましの言葉を忘れることなく、みんなで力を合わせ勉強に励み、来年3月にそろって卒業できるよう、精一杯努力することをここに誓います。令和6年4月9日 第70回松本市立旭町中学校桐分校入学生一同」

入学式
入学式

(長野放送)

長野放送
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