クマなど野生動物による被害を食い止めるための“切り札”として、9月から山形市が、撃退装置「モンスターウルフ」の実証実験を開始した。
一方、宮城・加美町では8月末から飼っていた七面鳥など13羽がクマに食べられる被害に遭っていた住宅で、侵入したクマの姿が撮影された。
北海道のLEDメーカー開発…全国で約330台導入
鋭くとがった牙に、真っ赤に光った目。そして威圧感たっぷりの形相で「う~」とうなり声を上げる。

野生動物撃退装置、その名も「モンスターウルフ」だ。

クマなどによる相次ぐ被害を食い止めるための“切り札”として、9月から山形市が実証実験を開始した。

赤外線センサーで野生動物の動きを感知すると、オオカミの鳴き声やLEDライトで威嚇し、農作物への被害を防ぐのだという。

気になる撃退能力は…。

「モンスターウルフ」が「う~」とうなり声を上げると、シカにイノシシ、そしてクマも一目散に逃げて行く。

発する音は、「オオカミの鳴き声」だけではない。

動物が同じ音に慣れてしまわないよう、「どこを見ている!その程度でこの僕に勝てるとでも?」といった人間の声や銃声など、50種類以上がランダムに流れるようになっているという。

開発したのは北海道のLEDメーカーで、これまでに、全国の自治体や農協などで約330台が導入されているという。

山形市では今回、実証実験を3カ月ほど行い、効果が認められれば農家への導入支援を検討するとしている。
山形市農村整備課・高橋知好課長(高ははしごだか):
クマ・イノシシ・サルなど様々な鳥獣に効くということで期待しています。市民の安全安心が第一。
8月末から何度もクマ侵入…七面鳥など13羽被害
そうした中、先週から住宅への出没が相次いでいたクマ被害の現場で、新たな動きがあった。

5日夜、宮城・加美町の住宅に侵入したクマの映像では、撮影した住人が思わず「デカ」と声を上げていた。

クマは、家の風除室に侵入し、鳥のエサが入った青いバケツを持ち去ったという。
住人:
音がうるさいのでおかしいと思って、カーテン開けたらここにいて、目と目が合って後ずさりした。

こちらの住宅には、8月末から何度もクマが侵入し、飼っていた七面鳥など13羽がクマに食べられる被害に遭っている。

住人は侵入した箇所に板を張る対策を講じていたが、通じなかった。

住人:
(クマは)ここから入ってきた。曲がってるけど。鳥のエサを食べながら荒らして、こっちから出た。簡単に入ってくる。こんなことをしても無駄。
捕獲に住民「ひと安心」も約3キロの場所に新たなクマ
住人が不安を募らせるなか、町と猟友会は、付近にワナを設置した結果、1頭のクマが7日、わなにかかり捕獲された。

クマにはGPSのついた白いテープが張り付いていたことから、これまでに目撃されてきたクマと同じ個体とみられるという。

捕獲を受け住人はFNNの取材に、「ひと安心です」とコメントした。

しかし捕獲後も、約3キロ離れた場所で新たにクマが目撃され、町が注意を呼びかけている。
(「イット!」 9月8日放送より)