トラックの過積載には厳しい罰則があるが、なくならない。ドライバー不足などの2024年問題で今後、過積載が増えるのではないかとの指摘もある。過積載が招く危険性は?過積載と思われるトラックを見つけたときの対処法は?

■死亡事故に繋がるケースも 過積載の問題点や処分は

愛知県半田市の知多半島道路で2月10日、ダンプカーが中央分離帯にぶつかり、積んでいたコンクリート片などが道路に散乱。その際、対向車線を走っていた乗用車にコンクリート片がぶつかり、運転手の男性が死亡した。

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その後の調べで、ダンプカーには規定の積載量の1.5倍ほどのコンクリート片などが積まれていたとみられることがわかり、警察は「過積載」が事故につながった可能性があるとみて調べている。

交通事故の裁判などを多く扱う牧野太郎弁護士によるとそもそも「過積載」とは、法律で定められた最大積載量を超えて荷物を運搬することだ。荷主が運転者に過積載を要求することも禁止されている。

違反した場合、運転手が処分されるのはもちろん、事業者には違反車両の使用停止、事業の停止、高速道路の割引サービスの停止などが下されることがある。

また荷主にも再発防止命令というものが出され、それぞれ悪質な場合は懲役刑か罰金刑が課せられることがある。

さらに被害者側が民事裁判を起こした場合、運転手だけではなく事業主が損害賠償請求される可能性があるという。

■JAFの実験でわかる 過積載の影響は

車が重くなるとどんな影響が出るのか、JAFが行った実験映像がある。ミニバンに運転手1人が乗った時と、定員いっぱいの8人分の重りを載せた時で、ブレーキの効き具合を比較した実験だ。時速60キロでブレーキを踏み、止まるまでの距離を計測した。

1人乗りの時は27.2メートルで、8人を想定した車の時は31.5メートル。4メートル以上の差が出た。

テストドライバー:
最初は全く別の車に乗っているのではないかという感覚を受けました。ブレーキを踏んで止まるまで、車体の重さというものを運転手として感じた

次に、時速45キロでカーブを曲がるときの違いを実験した。

1人の時はカラーコーンに沿って曲がることができたが、8人分の重さになると車体が大きく外に逸れる結果に。車体の重さで曲がる性能にも差が出てしまうことが分かった。

これだけではなく、過積載は荷崩れが起きやすくなったり、重心が高くなってバランスを崩しやすくもなる。ブレーキが利きにくく、タイヤバーストも起こりやすいということで、重い分、衝突の力が増えるため、大事故につながってしまいがちだ。

JAFによると、明らかに積み荷が多いとわかる以外に見分ける方法はないので、それらしき車両を見つけたときは近づかないことが大切だ。

また、いつでも安全に停止できる車間距離を取ることが重要で、高速道路であれば100メートル前後は空けたいとしている。

2024年2月16日放送

(東海テレビ)

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