2024年度、福岡県警察学校の新卒警察官27人が配属された。しかし、警察官採用試験の受験者は減少傾向にあり、福岡県警は新たな採用戦略を模索中。そんな中、新しい募集ポスターも完成し、警察官の魅力を伝える活動が行われている。

減少する受験者数…深刻な「警察官離れ」

地域の治安を守り犯罪の捜査にも当たる警察官。福岡県警察学校で卒業式が行われ、新年度、27人の新人警察官が県内12の警察署に配属された。新たな一歩だ。

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警察学校卒業生・林優希さん:
県民に頼られる、強くて優しい警察官になり、子どもに憧れを抱かれるヒーローのような存在になりたいです。

一方で、福岡県警ではここ数年、採用試験の受験者減少に悩まされている。警察官離れにどうやって歯止めをかけるのか。

“憧れ”への就職意識

新小学1年生の男の子を対象に行われたアンケートでは、将来「警察官」になりたいとの答えが3年連続1位に輝いた。

子どもにとっては憧れの職業だが、一方で就職を意識する大学生に話を聞くと、「ずっと気を張らなきゃいけなさそうで、責任感を伴うから、大変そうだなというイメージですね」「かっこいいけど「自分ができるか」と言われたら、ちょっと自信はないですね」「(県警を受ける?)受けないかなと思います。運動とか苦手な方なので」などの声が聞かれた。

こうした声を反映するかのように福岡県警でも年々、採用試験を受ける人が減少している。10年前には4000人を超えた受験者数だが、2023年はほぼ半減。2000人を下回る状態だ。
少子高齢化も相まって、「警察官離れ」が深刻となっている。

新戦略で警察官の魅力を伝える

「『受験者減少に歯止めをかけるにはどうしたらいいかな』というのは常に考えています」と話すのは福岡県警採用センターの横田大・巡査部長。横田大巡査部長は機動隊員や刑事を経験したのち、2022年、この部署に配属された。

福岡県警採用センター・横田大巡査部長:
警察官の仕事は体育会系の人たちばかりで成り立ってるものでもないですし、逆に勉強ばかりが大事と言う訳でもないので、いろんな方に警察官の魅力を伝えられるように頑張っています。

2025年度の採用に向けた活動がスタートしたのは2023年9月。
「『シン・ウルトラマン』というヒーローの映画のトーンを真似して作ったものです」と説明するプレゼン担当者。この日は募集ポスターの選考が行われていた。

これまでも若者の目を引くポスターを意識して制作してきた福岡県警だが、ポスター制作は受験希望者を取り込むためにチカラを入れているひとつだ。

福岡県警採用センター・横田大巡査部長:
非常に悩みました。インパクトがあって「警察官って良いな」と思ってもらえるものを選んだ。

デザイン決定後、現役の警察官をモデルに撮影に入る。ポスターを見る人にいかに興味を持ってもらうのか、イメージ通りに撮影できているかなど目を配る。さらに就職説明会では学生の前に立って、警察官という仕事の魅力について語るのも採用担当の重要な仕事だ。

就職説明会で福岡県警採用センター・横田大巡査部長は「誰ひとりとしてこのなかにいる方、警察官になれないという方はいないです。警察官になって、そのなかで皆さんに向いているところ、楽しいなって思えるところ、必ず福岡県警にあります」と話していた。

説明を聞いた学生たちは「体、動かさないといけないのかなと思ってたんですけど、そんなこともないお仕事もあったので、聞いて良かった」「質問にも個人で聞いていただいたので、対応が丁寧でうれしかったです」などと反応は前向きだった。

半年かけて制作した募集ポスターもようやく完成した。福岡の街に出現した怪獣という「悪」に警察官が立ち向かうデザインとなっている。

福岡県警採用センター・横田大巡査部長:
どの方にもどこか良いなと思えるような場所があるのが、この警察の仕事だと思ってますので、ぜひ警察官目指していただけると嬉しいなと思います。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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