新年度初日となる1日、各地で入社式が行われた。ことしの新入社員はどんな未来を描いているのだろうか。新入社員を直撃した。

【動画】「会社人間は嫌」新入社員の人生観 "仕事とプライベート両立"を重視する声目立つ

■JR西日本ではグループ全体の入社式を初めて実施

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会場に集まった、JR西日本のフレッシュな新入社員たち。グループ会社を含め約2000人が新たな門出を迎えた。

JR西日本グループ新入社員:
常にコミュニケーションを大切にし、前向きに誠実に取り組むことで、周囲から信頼される人材を目指し、本日より業務に取り組んでまいります。

JR西日本がグループ会社を含めた全体での入社式を行うのは、コロナ禍前も含めてことしが初めて。今後より一層、グループ同士での”つながり”を大事にしようと盛大に祝った。

JR西日本 長谷川一明社長:
長きにわたるコロナ禍をへて、暮らし方・働き方など人々の意識は大きく変化しています。ポストコロナへの挑戦を加速していく、重要な1年をスタートしましょう。

■USJの人気キャラがお祝い 今年の新入社員のほとんどが大学時代をコロナ禍で過ごした世代

一方、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン。USJの「しゃべくり・ジェネラル・マネージャー」を務める綾小路麗華さんが登場。

綾小路麗華さん:
皆さまこんにちは!本日は誠におめでとうございます!皆さま緊張しちゃってるの?こわばってる!

そんななか、人気キャラクターのミニオンやエルモーが駆け付け、新入社員も大盛り上がり。

実は、ことしの新入社員の多くは、大学生活のほとんどをコロナ禍で過ごした世代で、入学式が中止になったり、オンライン授業が続いたりと異例の大学生活だった。

USJ新入社員:
どうしてもオンライン授業や、ビデオ通話が当たり前だったので、こうやって対面で(入社式を)してもらえて、USJの一員になったぞという、実感がものすごくわいた。

USJ新入社員:
まずはたくさんのことを吸収して、たくさんのことを知って、自分も仕事をものすごく楽しめるように“ノーリミット”で頑張りたい。

就職情報サイトなどを手がける「学情」によると、ことしの入社式は「リアル(対面)で実施」と回答した企業が88%で、2年前と比べて約20ポイント増加。さらに新入社員も、対面の入社式を希望する人が85%と、去年から約15%増えたという。

■「仕事とプライベートの両立」”自分らしさ”を重視する新しい価値観

そんなことしの新入社員たちの多くが生まれたのは、大卒であれば2001年(平成13年)から2002年(平成14年)にかけて。カメラ付き携帯電話が「Jフォン」から発売され、写真をメールで送受信する「写メール」が若者を中心に大流行した時代だ。

今どきの新入社員たちは、一体どんな人生観なのか?入社式を終えたばかりの新入社員を直撃した。

関西テレビ 吉原功兼キャスター:
私はきょう4月1日に入社20年目を迎えました。きょう入社式を迎えたみなさんは、『働く』ことについて、どのように考えているんでしょうか?

ーー会社に求めることは?

鉄鋼関係の商社 新入社員:
プライベートも大事にしたくて、仕事は仕事でやって、プライベートは自分のやりたいことができるというのを求めている。

鉄鋼関係の商社 新入社員:
オンオフをはっきりつけられる会社がいい。しっかり働きたいが、土日忙しいとか言わずに遊ぶぞと。

ーー就活で「土日休み」の会社が候補?

鉄鋼関係の商社 新入社員:
第一希望ぐらい。

デジタルマーケティングの会社に入社したこちらの2人も…

デジタルマーケティング会社 新入社員:
スキルアップもそうだが、(重視するのは)バランス。日常生活と仕事どっちも充実させられたらいいかなと。自分が今幸せな状態なのかの、バランスを見極めていければ。

ーー会社人間になるのは?

デジタルマーケティング会社 新入社員:
そういうイメージは嫌。人生の中に仕事というのがあって、ゆっくりやらずに効率良く終わらせれば、自分の時間も持てると思う。

多く聞かれたのは「仕事とプライベートの両立」を重視する声。

さらに将来のビジョンについては…。

鉄鋼関係の商社 新入社員:自分の会社でやりたいことがあるならいいし、違うところでステップアップできるなら変えたい。

ーー定年まで働くことについて

デジタルマーケティング会社 新入社員:
そこまで考えてなくて、10年はいれたらいいなと思うが、30歳が節目になるかなと。

ーー転職への抵抗ない?

デジタルマーケティング会社 新入社員:
抵抗は昔と比べてないと思う。父が転職していいんだよと言っていたり。これからはそう(1つの会社で定年まで働く)でない方がいいかもとも言われる。

コロナ禍をへたからこそ、リアルな”つながり”を求める新入社員たち。その一方で、思い描く「働き方」の背景には、”自分らしさ”を重視する新しい価値観があった。

■ことしの新入社員は「セレクト上手な新NISAタイプ」

取材した吉原キャスターは「新入社員の皆さんは自分を持っていて、生活と仕事の両立、バランスを本当に大切に考えているように感じた」と話す。

ことしの新入社員のタイプが発表された。(出展:産労総合研究所)

自分の未来は自分で築く、「セレクト上手な“新NISA”タイプ」だそうだ。目標を見定め、集中する熱意があり、自分で情報を集め「セレクト」する。ただ、対面コミュニケーションの経験に乏しく、仲間以外の世代との距離感に戸惑う面がある。

番組コメンテーターの共同通信社の太田昌克さんは、「幸せの在処が多様化している表れだと思う。実は日本の社会は今年が大きな曲がり角で、賃金が本格的に上がり始め、ゼロ金利が終わった。だから日本の経済に代わっていく。大切にしてほしいのは、仲間そして信頼、人との触れ合い。大学時代はオンラインを経験して大変な思いをしたと思うが、仲間づくりを大事にしてほしい」と新入社員にエールを送った。

吉原キャスターも、「学生時代に制限が多かったからこそ、その時やれなかったことを、社会人になってやりたいという新社会人の方が本当に多くいました。新社会人の皆さん、一緒に頑張っていきましょう」とエールを送った。

(関西テレビ「newsランナー」2024年4月1日放送)

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