オーケストラをもっと身近に楽しんでもらいたい。アニメ音楽に特化した定期演奏会を仙台フィルハーモニー管弦楽団が、初めて開いた。
2024年で創立51年目を迎える楽団の挑戦は、これまでクラシックを知らなかった人たちをも虜にした。

前例のない「アニメ」の定期演奏会

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3月、仙台市内のコンサートホールで仙台フィルによるアニメの定期演奏会が開かれた。初開催となる今回は、世界の有名作曲家が登場する「クラシカロイド」というアニメとコラボレーションした。
オーケストラによる、アニメ音楽の定期演奏会は前例がない。今回の企画の発案者、仙台フィルのチーフ・インスペクター美濃部敦さんは、オーケストラへの偏見を無くしたいと語る。
「クラシックやオーケストラの演奏会は難しくて近寄りがたいと思っている人は多いという印象がある。普段から慣れている音楽から、オーケストラってすごくいいなと思っていただきたい。」
(仙台フィルハーモニー管弦楽団 チーフ・インスペクター 美濃部敦さん)

仙台フィルハーモニー管弦楽団 チーフ・インスペクター 美濃部敦さん
仙台フィルハーモニー管弦楽団 チーフ・インスペクター 美濃部敦さん

客層の高齢化…オーケストラが抱える課題

美濃部さんと今回手を組んだのは、アニメ「クラシカロイド」のプロデューサーで、バンダイナムコピクチャーズの生地俊祐さん。プライベートでも付き合いのある二人は、同じ課題を感じていた。
「客の年齢層もなかなか若返らない。(44歳の)僕が最年少のお客さんであり続ける印象のコンサートすらある。もう少し客層が広がっていかないと未来が開いていかない。」
(バンダイナムコピクチャーズ アニメ「クラシカロイド」プロデューサー 生地俊祐さん)

バンダイナムコピクチャーズ アニメ「クラシカロイド」プロデューサー 生地俊祐さん
バンダイナムコピクチャーズ アニメ「クラシカロイド」プロデューサー 生地俊祐さん

仙台フィルと、バンダイナムコグループの3社が企画したこの演奏会。演奏する曲にはオーケストラに合わせた楽譜がなく、仙台フィルは楽譜づくりから取り組んだ。新しい編曲によるこれまでにない音の響き。従来のクラシックコンサートとは違った緊張がある。

創設51年目“初めての試み”

演奏会当日。開場と同時に多くのお客さんがコンサートホールへと詰めかけた。アニメをテーマにした演奏会ということもあってか、普段よりも若い客や子供たちの姿が多く目立つ。

そして午後3時、舞台の幕が開いた。オープニングはクラシカロイドのテーマソングから。
コンサートではロックミュージシャン・布袋寅泰さんがアレンジしたベートーベンの楽曲など、アニメで使われたおよそ20曲のクラシック音楽が披露された。
初めての演奏会は、拍手喝采で幕を閉じた。

新しいオーケストラの形を発信

演奏会に来た人たちの中には、オーケストラは初めてという人が数多くいた。
訪れた人は、
「クラシカロイドのアニメをずっと見ていて、すごく感動した
「もっといろんなクラシックに触れてみたい。クラシックの勉強もしてみたい」
と話していた。

生地俊祐さんと美濃部敦さん 当日は司会を務めた
生地俊祐さんと美濃部敦さん 当日は司会を務めた

演奏会の発起人である2人も手応えを感じていた。
こういう楽しみ方もあるとクラシックファンも気付いてくれたら今後何かが起きるかなと感じる」
(バンダイナムコピクチャーズ アニメ「クラシカロイド」プロデューサー 生地俊祐さん)
「新しい客層がすごく入ったと思う。仙台フィルが発信していく音楽が、皆にとって身近なものになってくれたらそれほどうれしいことはない
(仙台フィルハーモニー管弦楽団 チーフ・インスペクター 美濃部敦さん)

仙台フィルのエンターテインメント定期演奏会は今後、5月4日(土・祝)にコードギアス、8月10日(土)にガンダム、2025年3月20日(木・祝)にはアイカツ!をテーマに開催される予定。

オーケストラによる前例のないエンターテインメント定期演奏会。仙台フィルの挑戦は始まったばかりだ。

(仙台放送)

仙台放送
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