痴漢の加害者と聞くと、どんなイメージを持つだろうか?
女性に相手にされない寂しい男、性欲をコントロールできない男、そんなイメージは全て間違いだと、『男が痴漢になる理由』の著者・斉藤章佳さんは言う。
東京・大田区の大森榎本クリニックで12年間に渡り痴漢や性犯罪の加害者の治療にあたっている、精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤さんに話を聞いた。
偏ったイメージに苦しむ当事者たち
ーー今回この本を書いたきっかけは何だったんですか?
痴漢に限らず性犯罪に関して世間で共有されている「加害者像」と「被害者像」があります。
被害者像は化粧が派手で服やスカートの露出度が高くて、男性の加害者像は、モテなくて性欲を持て余しているとか、オタクだとか偏ったイメージがあって、実はこの偏ったイメージによって当事者たちは苦しんでいます。
実際に治療に来る痴漢の加害者の方たちは、4大卒で、妻子がいて、サラリーマンが半数を占めるんです。
性犯罪をする人というのは特殊な人ではなくて、案外自分の隣に住んでいるとか道ですれ違う人だったりします。そういう性犯罪の被害者像・加害者像をデータを元に覆して、正しい理解をしてもらうために出しました。
あとはやはり日本で一番多い身近な性犯罪が痴漢だということもあります。
ーー具体的にクリニックに来院する患者さんで多い層はどんな人なんですか?
一番多い層はやはり、4大卒の妻子持ちでサラリーマンという層です。
痴漢の始め方で一番多いのは、偶然体の一部が触れてしまって、そこから始めてしまうという方が多いです。腕が触れるなり、手の甲が触れてしまった時にその柔らかさに衝撃を覚えて、そこから今度はすぐ手のひらでやるわけではなくて、能動的にぶつかったり、揺れに合わせてわからないように触れます。そこから実際に手を使って行動化するという形で徐々にエスカレートしていく人が多いです。
あとは他の人がやっているのを目撃して真似するという人もいます。女性が痴漢をされている様子を観察し、被害者が大声を上げないで普通に下車して行ったのを見て、「別に痴漢をやっても騒がれないんだ」「嫌がっているわけではないんだ」という都合のいい理解をしてしまい自分もやってみようと始める方がいるんですね。

