2024年5月、東北大学農学部跡地に移転する仙台厚生病院。全国的にも珍しい全室個室の大型病院に生まれ変わる施設の内部をメディアで初めて取材した。
生まれ変わる仙台厚生病院
宮城県仙台市青葉区堤通雨宮町で建設が続く地上9階建ての新病院。新しい仙台厚生病院は地下鉄北四番丁駅から徒歩6分と、アクセスの良さも特長。
この記事の画像(10枚)仙台厚生病院の目黒泰一郎理事長に話を聞いた。
Q.新病院への移転が迫ってきた。今の気持ちは?
(梅島三環子アナウンサー)
「職員皆同じと思うが楽しみというか夢というか弾むような思いがあります」
(仙台厚生病院 目黒泰一郎理事長)
構想から約10年。新病院にはどんな工夫がされているのか…。
ホテルを意識?外来部門
Q.入ってすぐが外来。ホテルのような雰囲気ですね
「病院はどうしても暗いイメージができやすいので、できるだけ払しょくできるよう明るさや広々感を感じてもらえればという発想がありました」
(仙台厚生病院 目黒泰一郎理事長)
外来の診察室は、待ち時間が短くなるよう23室から39室へ増設。診察室への動線を工夫し、医師も効率よく診察できるようにしたという。
全病室が個室 狙いは?
Q.病室は完全個室?
「全室個室です。東北ではまだ少ない。そんなにないと思います。一つは感染対策上メリットがあります。それからプライバシーの保護。プライバシーの保護はこれまでの医療により強化されるべきテーマだと思います」
(仙台厚生病院 目黒泰一郎理事長)
409ある病床のうち半数は差額の負担がない個室で、これまでの大部屋の費用と変わらない。また、希望者にはベッドや寝具を貸し出し、医師の許可があれば複数人で泊まることもできるという。
救命率向上へ 屋上ヘリポート新設
新病院の屋上には庭園が設けられたほか、ヘリポートが新たに設置された。
「我々の病院で扱う心臓疾患・大動脈疾患は寸刻を争う緊急手術が必要なものです。ヘリコプターで搬送されることで救われるのではと期待しています」
(仙台厚生病院 目黒泰一郎理事長)
これまでは病院に直接、ドクターヘリが着陸できず、仙台市が許可した場所で患者を救急車に乗せかえて受け入れていた。手術開始までの時間が大幅に短縮され、救命率の向上につながることも期待されている。
未来の医療に対応 6つの手術室
手術室はこれまでより一つ増え、広さも1.5倍に。医療の発展を見据えた設計だという。
「昔は手術室に麻酔器と医者がいれば手術できましたが、今はいろんな大型機械が周辺に並ぶようになりました。今後はさらに増えるだろうと。何が増えても対応できるように手術室を大きくしました」
(仙台厚生病院 目黒泰一郎理事長)
このほかにも、さまざまな用途に使える部屋を設け、新たな医療を受け入れるスペースとして準備しているという。
医療スタッフの環境整備
一方で、全国的に不足している医療スタッフへの配慮もある。働きやすい職場にするため、病院内にはこんな施設も…ボルダリングやスカッシュルーム。
「病院が職員にとっても楽しい場所であった方が元気が出て、結果として患者さんも元気になるのではないか。職員を大事にすることは究極の患者第一主義になります。これを逆にしてはいけない」
(仙台厚生病院 目黒泰一郎理事長)
良質な医療を提供するため、病院のあり方は変わりつつある。
新病院への期待
Q.新病院に期待することは?
「クオリティの高い入院生活を送りながら、さらに質の高い医療を提供する。その新病院を軌道に乗せつつ、東北の医療にある程度のインパクト・刺激を与えることができれば、将来の東北の医療全体の改善に微力ながら寄与できるのではと考えています」
(仙台厚生病院 目黒泰一郎理事長)
宮城や東北の医療にも影響を与える、新しい仙台厚生病院。新病院のオープンは2024年5月の予定。
(仙台放送)