FIFAワールドカップの中継画面に映ったことで一躍注目の的となった「じゃんけんマン」。しかし、何の活動をしているかは街の人もよく知らないようで、中には「普段はメイクを落としてサラリーマンをしていそう」との声も上がった。そこで鹿児島テレビでは、じゃんけんマンの素性を探るべく取材した。

超多忙なじゃんけんマンの自宅に訪問

自宅を訪ねると、ドアの向こうから「じゃんけんマン」が出てきた。今回の取材が自宅初公開ということで、「家に来るのか?と思いました。(自宅で取材は)なかなかないパターン」と若干戸惑っている様子だ。早速、何の活動をしているか聞いてみた。

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じゃんけんマン:
ご当地ヒーローみたいな形で頑張っています!基本、子どもを笑顔にするためにイベントでじゃんけんをしたり、ステージショーをしたり、13年活動しています。長いです。

他にも清掃活動をしたり、3月3日に開かれた鹿児島マラソンでは、桜島フェリーからランナーを応援したりと鹿児島のヒーローとして奮闘中だという。そんなじゃんけんマンの姿に賛同するスポンサーが活動をサポートしている。

キャラのモチーフは、うさぎ…ではなく「(じゃんけんの)チョキ!」。

「じゃんけんマン」のモチーフはチョキ
「じゃんけんマン」のモチーフはチョキ

じゃんけんマン:
子どもたちが笑ってくれる格好ということでこれにした。一生懸命考えた。

これまでにじゃんけんをした相手の数は数えきれず。本人いわく「多分、世界で一番じゃんけんをしている」とのこと。

じゃんけんマンは、子どもたちに「探せばいろんな『一番』があるので、苦手なものを伸ばすよりは得意なところを伸ばして、『僕は朝学校に行くのが一番早い』とか、いろんな一番を見つけてほしい」と呼びかけた。

きっかけはアルバイト先のイベント

ダメ元で「素顔を見せてもらえませんか?」とお願いしてみると、「すっぴん?見たいですか!?需要あります?」と驚きつつ、意外にもあっさりOKしてくれた。

素顔を見せてくれた「じゃんけんマン」こと尾曲智幸さん
素顔を見せてくれた「じゃんけんマン」こと尾曲智幸さん

洗面所でメイクを落とし、見せてくれたじゃんけんマンの素顔は、鹿児島市出身の尾曲智幸さん(34)。幼少時代、父の影響でウルトラマンが好きで「ウルトラマンの中に入るスーツアクターになりたいと思っていた」という。

転機が訪れたのは大学生の時、アルバイト先のゲームセンターのイベントでじゃんけん大会をすることになり、店長に「じゃんけん大会を盛り上げて!」と言われた尾曲さんは、好きな「ウルトラマン」と「じゃんけん」を合わせることを思いついた。
ヒーロー「じゃんけんマン」としてイベントに臨んだ尾曲さんは、早速手応えをつかんだ。

「じゃんけんマン」こと尾曲智幸さん:
イベントに参加してくれた人の中から優勝を決めた。それが福岡から来た親子で「鹿児島に来てよかったですー!」と言ってくれて、「これ、鹿児島のためになった?」と思った。鹿児島のためになるなら続けてもいいかな?と思って、徐々に回数を増やしていった。

幼少の頃サッカーに明け暮れていた尾曲さんは現在、大好きな子どもたちにサッカーの指導をしながらじゃんけんマンの活動も行っている。

小学校でワークショップを行うこともあるということで、現場に同行した。打ち合わせや準備を全て自分でこなしている。準備で慌ただしい中、慣れた手つきで素早くメイクをし、じゃんけんマンに変身していく。

サインを求めて列をつくる子どもたち
サインを求めて列をつくる子どもたち

じゃんけんマンは児童に拍手で迎えられ、自然エネルギーについて考えるワークショップが始まった。真剣に取り組む子どもたちも、休み時間になるとじゃんけんマンにサインを求めた。廊下には授業に関係ない子どもたちも集まり、人気ぶりがうかがえた。

被災した人たちに“後方支援”

鹿児島のヒーロー「じゃんけんマン」は、世界からも注目されている。FIFAワールドカップの応援で、ただ応援するためだけに現地に行くのではなく、被災地の子どもたちに何かしたいとの思いから協賛を募り、被災地の子どもたちをワールドカップに招待したのだ。

写真提供:じゃんけんマンこと尾曲智幸さん
写真提供:じゃんけんマンこと尾曲智幸さん

ロシア大会では福島の子どもを3人、カタール大会では福島、宮城、岡山、愛媛、熊本から8人を招待した。じゃんけんマンは「支援できることって何だろうと考えたら、後方支援が一番なのかなと。募金したり、外に連れ出すことをしてあげるのが大事かな」と語る。

2024年元日に発生した能登半島地震でも支援に向かった。子どもたちのストレスをためないようにレクリエーションをやったり、年配者が運動不足だと知ると「一緒に座ったり立ったりしよう」とやったり…、その姿はまさしくヒーローそのものだ。

被災地支援やイベント出演と、超多忙なじゃんけんマンには、将来どうしてもかなえたい夢がある。

じゃんけんマンがイメージする遊園地
じゃんけんマンがイメージする遊園地

「じゃんけんマン」こと尾曲智幸さん:
子どもたちの笑顔と「鹿児島愛」が強いので、鹿児島に遊園地をつくるという目標がある。世界を飛び回ることが多いので「鹿児島に住んでいる」と言っても、みんな「鹿児島って聞いたことない」とリアクションするので、世界の人にも知ってもらえる遊園地をつくって、きれいな鹿児島の街を知ってほしい。

最後に職業を聞いてみた。あなたの職業は?

「じゃんけんマン」こと尾曲智幸さん:
うーん、ヒーローかな。本気で答えています!

(鹿児島テレビ)

鹿児島テレビ
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