能登半島地震では、幹線道路が各地で寸断され多数の集落が孤立した。愛媛で同じような「半島」といえば伊方町のある佐田岬半島だ。東日本大震災の発生から13年を迎え、地震への備えについて改めて考える。
能登半島地震教訓に被害想定見直しへ
2024年元日に最大震度7の揺れを観測した能登半島地震。石川県によると7万8000棟を超える住宅が倒壊などの被害を受け241人が命を落とした。また、斜面の崩落などで幹線道路が寸断され、国のまとめによるとピーク時には33地区で3345人が孤立し、孤立集落の解消までに40日以上がかかった。
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佐田岬半島にある愛媛・伊方町の住民たちは、地震への不安を口にする。
伊方町住民の高齢女性:
能登は地形が佐田岬みたいな半島でしょ、伊方はまだ交流できるけど、こっから瀬戸町・三崎になったら寸断されたらもう…
高齢の男性:
ここも心配なところがある、国道197号。トンネルとかどっかで崩れると、もう完全に行けなくなる
役場の隣でお店を営む女性:
2月26日に震度4の地震があって、結構グラグラグラってきたんです。そういうのを見てたら、南海トラフ地震が近いのかなと。もう怖い…
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愛媛県による南海トラフ巨大地震の被害想定ではこれまで、伊方町で「集落が孤立する可能性はない」とされていた。
中村知事:
特に能登半島地震を考えて、これから具体的なことはやっていきますけれど、南海トラフ地震の被害想定の見直しや津波避難体制の強化などに取り組みたい
![愛媛・中村知事](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/f/9/700mw/img_f97649dc27a85583d25fbfcf7bec28d7466019.jpg)
愛媛県は2024年度の当初予算案に、南海トラフ地震の被害想定の調査費を盛り込んでいて、
今後、早急に被害想定の見直しに取り組む考えだ。
海と山が近い愛媛に想定される被害
近い将来必ず起きると言われている南海トラフ巨大地震。想定される地震の特徴などを専門家に聞いた。
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愛媛大学防災情報研究センター・二神透副センター長:
(南海トラフ地震)は「海溝型の地震」になります。「海溝型地震」の場合は、東日本の地震もそうなんですけど、2分から3分ぐらい長く揺れるのが特徴です。今回、能登半島地震で起こったような建物の倒壊、それから津波、特に宇和海沿岸は大きな津波が来ます
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海と山が非常に近い愛媛県だからこそ起こる被害もあるという。
愛媛大学防災情報研究センター・二神透副センター長:
愛媛は山間地が非常に多いので、急傾斜地はほとんど崩れると思いますし、津波で道路が使えない場合もありますから、山間地だけではなくて、沿岸部でも孤立が発生します。(佐田岬半島の住民が多く住む)沿岸部からメロディーラインに上がるまでの道というのが非常に幅員が狭くて、それから土砂災害が想定されているところにありますから、各地で土砂災害が発生して集落が孤立すると思います
![佐多岬にある民宿「大岩」](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/e/2/700mw/img_e2f57b6bf8167ce0b1c0b27008892b17547643.jpg)
東西約50kmに伸びる佐田岬半島。その最西端で40年以上、民宿を営んでいる男性がいる。
民宿 大岩・大岩幸男社長:
実際は怖い、やっぱり他人事やなくて、うちらも半島やからね。伊方原発もあるし空路しかないようになる。フェリーもあてにならんようになる、海が能登のように隆起したら。どうしたらいいかっていうのは分からん
2月26日に愛媛県南予を震源に発生した地震では、伊方町でも震度4の揺れを観測した。大岩さんも地震の怖さを改めて感じている。
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民宿 大岩・大岩幸男社長:
能登半島地震があって2月26日も揺れて、その前、2月21日も揺れて、ここらも怖いなって思って、ちょっと身近に感じるようになった。想定外のことが起きる。人間が考えること以上のことが起きる可能性がある。やっぱり能登でもそうやないかと思う。まずは命を守ることが一番
町の対策と“自らができる備え”
伊方町も住民の命を守るため、能登半島地震の教訓を生かしたいと考えている。
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伊方町 総務課危機管理係・畑中保人係長:
能登半島と伊方町、半島の規模は違いますが、状況的には同じような地震が起きると同様な被害が起きることが想定されます。主要道路が何らかの崩壊をしてしまうと逃げられません。同様に農道・町道も使えなくなる確率が高いかなと思われます
伊方町は独自に集落が孤立する可能性を想定し、対策を行っている。
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伊方町内全域で46カ所ある指定避難所などに、約8000人の伊方町民が3日間過ごせるだけの食料や水のほか毛布、段ボールベッドなども備えているという。また、能登半島地震で断水によりトイレが使用できなくなったことを受け、新たに簡易トイレの備蓄なども進める方針だ。
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行政による備蓄以外に、私たちが自ら地震発生時の孤立に備えてできること。よく言われているのが、1週間分の食べ物と水、それからいつでも持ち出せるような非常持ち出し袋を用意しておくことだ。
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このほか電気やガスなどのライフラインが使用できなくなることも想定し、カセットコンロや懐中電灯、ランタンなどを準備しておくことも有効だ。
愛媛大学防災情報研究センター・二神透副センター長:
宇和海沿岸部だと津波が高いので多くの集落が津波で流されてしまう。何もない状態で孤立してしまう。非常持ち出し袋、食べ物を持って避難しないと半島の宇和海側の人々は、流されてしまいます
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南海トラフ巨大地震では県内で最悪の場合、約40万棟の建物が被害を受け、死傷者は7万人にのぼると想定されている。揺れや津波などの直接的な被害を免れたとしても、住んでいる地域が孤立するかもしれない。あらゆる可能性を想定して、1人ひとりができる備えを事前に行うことが生き延びるための重要なカギとなる。
(テレビ愛媛)