一時、熊本県内7つの市と町に大雨特別警報が出されるなどした、一連の記録的な大雨から一夜明けた8月12日には、被害の全容が徐々に明らかになってきた。熊本県の木村知事と熊本市の大西市長が、それぞれ被害箇所を視察した。

『緊急安全確保』が出された玉名市

玉名市天水町の唐人川そばの受免地区では、12日も冠水が続いていて、高齢者が家から出ることができず、水が引くのを待っていた。

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この地区では10日までの大雨により、数軒の住宅で1階部分が浸水。男性が親戚の高齢女性が自宅から出られない状態のため、腰の高さまで水に漬かりながら食料品などを届けていた。

この地区に暮らす別の男性は「10日の夜から一歩も家を出ずに自宅にいた、市や消防に救助の連絡はしていなかった」と話し、歩いて食料品などを買いに行っていた。

玉名市によると、受免地区では電話や水道水、ガスやトイレを使うことができず、8世帯が冠水によって身動きが取れなくなっているという。玉名市では飲料水などの物資を届けるなど個別に対応することにしている。

また、熊本県の木村知事は12日午後に、玉名市役所を訪れ被害の状況を確認した。玉名市の藏原隆浩市長は12日午後までに、市内の約100軒の家屋で浸水被害の報告があったとし、熊本県が管理する境川や唐人川の排水機能の強化を訴えた。

木葉川が氾濫した玉東町では浸水被害

その後、木村知事は一時50~60センチ浸水したという、玉東町の中央公民館や町民体育館を視察。公民館の中にある図書室では、地元の住民や中高生たちが泥をかき出していたほか、濡れていない本を移動させていた。

近くを流れる木葉川は、土の堤防が約50メートルにわたって崩れていて、玉東町の前田移津行町長は、以前から要望していたという河川の改修工事の緊急性を改めて知事に訴えた。

これに対して木村敬知事は「至急、県管理の河川については、ここに限らず整備の状況(を確認)。仮に堤防が壊れていなくても、土砂が堆積している事例が多いと、きょう報告を受けたので、川底の掘削は緊急的に行っていきたい」と述べた。

大西熊本市長は土砂崩れ現場を視察

一方、熊本市の大西市長は12日午後、北区徳王の土砂崩れ現場を視察した。土砂崩れが起きたのは、民有地の竹林で、幅約30メートル、高さ約50メートルにわたって竹林が崩壊し、市道をふさいでいるため通行止めとなっている。

土砂崩れ現場の上には複数の住宅があり、避難している住民もいるという。熊本市は安全が確認でき次第、土砂を撤去する方針だが、復旧のめどは立っていない。

大西一史熊本市長は「幸い人的被害はないものの、住宅がすぐあるから二次被害にならないように」と話し、このほか市内中心部や東区も視察し、「農家の被害も把握して国に支援を求めたい」と述べた。

(テレビ熊本)

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