ファッションモデルとして活躍する19歳のダウン症の女性が、「パリコレ」にゲスト出演した。世界の舞台で身につけるのは、成人式の“ド派手”衣装で広く知られている、福岡・北九州市の貸衣装店「みやび」のドレスだ。

いざ“夢の舞台”「パリコレ」へ

ダウン症のファッションモデルとして活躍中の齊藤菜桜さん(19)が、世界のトレンドをリードする「パリコレ」にゲスト出演するために“花の都”パリにやってきた。

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“夢の舞台”に辿り着き、「すごいよ!エッフェル塔!」と興奮を隠せない。

菜桜さんは、生まれてすぐにダウン症と診断され、「先天性食道閉鎖症A型」や「動脈管開存症」などの合併症で、これまで40回以上の手術を乗り越えてきた。病気と闘いながらも、モデルとして活動しているのだ。

菜桜さんの母・由美さん:
「大きな夢を持とう」と。障害があっても夢をかなえることができるということを、皆さんに伝えていけたら…。

5年前から本格的にモデル業を始めた菜桜さんの夢は「海外のランウェイ」を歩くこと。しかし、旅費やレッスンなど費用もかかるため、夢を諦めかけていた。

その矢先に舞い込んできたのが、今回の「パリコレ」の出演依頼だったのだ。

「衣装はどうする?」と思い悩む母娘。その時に2人が知ったのが、ニューヨークの「ファッションウィーク(2023年9月)」で披露された北九州市の「みやび」の衣装だった。

「みやび」といえば成人式の“ド派手”衣装で広く知られている。

菜桜さんの母・由美さん:
テレビの番組で、「みやび」さんの放送を見て、パリコレでは西洋風のドレスは皆さん着るので、日本といったら着物しかない、と。着物といったら、ということで「みやび」さんに連絡してもらったんです。

オーダーしたのは「自分らしいドレス」

“夢の舞台”を衣装制作で支えたのは「みやび」の店主・池田雅さん。2月15日、北九州市でパリへの出発を前に衣装合わせが行われた。

白い布が取り除かれると、現れたのは色鮮やかな衣装。雅さんがデザインした衣装に思わず息をのむ菜桜さん。

菜桜さんがオーダーしたのは「自分らしいドレス」。
赤を基調とした反物に、金の帯を合わせたきらびやかなドレスが仕上がった。

ドレスの仕上がりに、母・由美さんも「感動してます。これで歩くかと思ったら…、すごいねー!」と感嘆の声を漏らす。

貸衣装店「みやび」・池田雅さん:
個性が生きるかわいいドレスが作りたいと思って。(菜桜さんを見て)フランス人形みたい。

ランウェイを歩く姿に思わず涙…

そして迎えた「パリコレ」の本番当日。菜桜さんの姿はデザイナー、サミーナ・ムガールさんのショーの中にあった。
雅さんと母親の由美さんが会場の端から見守る。

堂々としたウォーキングを披露
堂々としたウォーキングを披露

少し緊張気味の菜桜さんだったが、「アメージンググレース」をバックに満面の笑顔で堂々としたウォーキングを見せた。

堂々としたウォーキングに思わず涙する雅さんと由美さん
堂々としたウォーキングに思わず涙する雅さんと由美さん

観客の前でポーズもしっかり決めた姿に、雅さんと母親の由美さんの目からは涙がこぼれる。

貸衣装店「みやび」・池田雅さん:
(菜桜さんに)上手だった。上手に歩けた。すごくよかったよ~!さすが菜桜ちゃん、頑張ったね。

齊藤菜桜さん:
楽しかった。(また来たいですか?)はい!

大舞台ながら、堂々としたウォーキングを披露した菜桜さんの姿に、雅さんは「菜桜ちゃんが立派で、すごい上手に歩いてくれて感動した。泣いちゃう。ありがとう!立派でした!」と称賛の声を送った。

ダウン症のファッションモデルと、北九州生まれの“ド派手衣装”がタッグを組んで臨んだ“夢の舞台”「パリコレ」。まだまだ夢の入り口。これから世界は広がっていく。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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