30年前、福井で「日本最古のピアス」が出土した。出土数は80点余りと国内では“ぶっちぎりの数”だいう。3月に開業する北陸新幹線・芦原温泉駅のすぐ目の前で出土し、開業を前に地元ではこのピアスを観光資源に活用する取り組みが進んでいる。

出土数85点 「極めてまれ」

「国内最古のピアス」が出土したのは、福井・あわら市の「桑野遺跡」だ。約7000年前の縄文時代に使われていたもので、国の重要文化財に指定されている。

桑野遺跡で出土した「国内最古のピアス」
桑野遺跡で出土した「国内最古のピアス」
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30年前の調査で発見され、その数は85点。色や硬さが異なる4種類の石が使われ、重さは小さいもので5g、大きいもので56gと卵1個分くらいの重さがある。あわら市の学芸員は、これだけ大量に見つかるのは「極めてまれだ」と話す。

学術的に「けつ状耳飾り」と呼ばれているピアス

あわら市郷土歴史資料館・九千房英之副館長:
全部で85点出てくるというのは、日本の中ではぶっちぎりの数です。これが7000年前の石とは思えないほど状態が良く残っていた。

約7000前に海外と交流があった?

出土した「桑野遺跡」は約7000年前、今より20メートルほど高い丘の上に位置していた。人が生活するには恵まれた環境だったと考えられ、九千房副館長は「地元の指導者が権力の象徴として身に着けていたのではないか」と推測する。

出土した中で1番古いピアス
出土した中で1番古いピアス

ピアスの古さには約500年の開きがあり、使われていた期間は約1000年にわたると考えられる。中には日本にはない成分の石も含まれていた。

あわら市郷土歴史資料館・九千房英之副館長:
日本では採取できない成分の石がここで出土している。しかも、海外ではこれと似たようなものが古い遺跡から出ているということになれば、これを身に着けて海外から渡ってきた人がいるということになる。そういう意味では約7000年前にすでに海外と交流があった証しとしても、ものすごく貴重な資料。

あわら市の“宝”を観光資源に

ただ、その貴重な資料の存在は地元では知られてない。複数の地元住民に話を聞いたが「分からないです」「聞いたことない」など、やはり知名度はかなり低い。そこで、歴史的価値の高い出土品を観光資源として生かそうという動きが始まっている。

「国内最古のピアス」のレプリカを常設
「国内最古のピアス」のレプリカを常設

地元はもちろん、観光客にもPRしようと、最古のピアスのレプリカを郷土歴史資料館に常設することにした。しかし、国の重要文化財に指定されているため、60日間しか展示はできない。そのため、クラウドファンディングでレプリカの製作費を集めた。目標額を上回る480万円以上が集まりレプリカを製作し、郷土歴史資料館に常設した。

あわら市郷土歴史資料館・九千房英之副館長:
あわら市にとってものすごい“お宝”だと思う。新幹線開業後、多くの人に見に来てもらったり、質感を確かめてもらったりして、あわら市の歴史遺産を体感してもらいたい。

将来は「日本最古のピアス」のチョコレートを販売?
将来は「日本最古のピアス」のチョコレートを販売?

「できれば(ピアスで)土産物を開発したい」と話す九千房英之副館長。白い耳飾りはホワイトチョコレート、茶色い耳飾りはチョコレートでつくり、それを並べて宝石箱をつくりたいという思いがあるなど、日本最古のピアスを使ったお土産づくりにも構想が膨らむ。

ピアスの実物は、3月9日から5月6日まで「あわら市郷土歴史資料館」で展示される。3月16日の北陸新幹線開業を控え、あわらの観光の起爆剤となるかが期待されている。

(福井テレビ)

福井テレビ
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